名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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中小企業と労使関係

№2237 マタニティハラスメント

№2237 マタニティハラスメント 経営者たるもの労務管理に習熟するべきだ 妊娠出産を契機に職場で不当な圧力をかけたり,不利益扱いすることをマタニティハラスメントとして労働問題になる。今回は歯科クリニックの事例で,出産のために休業中であった女性労…

№2226 うつ病対応

№2226 うつ病対応 うつ病はあいまいな病気だ あいまいさの利用が会社への賠償請求の裏技のように心得る連中が増えているように思う。気分が落ち込む,眠れない,泣きたくなるなど診察時に一定の症状を言うように指導しているように思えてくる例がある。 もち…

№2221 辞表と退職願とは違います

№2221 辞表と退職願とは違います 正社員の労働契約はいつでも解約できるのが原則です 雇用は労働契約という契約なので,契約に拘束される。正社員の場合,一般的には期限の定めのない労働契約なので,使用者,労働者どちらの側からでも一方的に解約できるの…

№2174 うつ病と労務管理に関する説明書

№2174 うつ病と労務管理に関する説明書 顧問先にうつ病対応の考え方について説明を求められたのでこんな文書を作ってみました。 実際の,説明書には青色での強調はありません。 ■ 株式会社 御中 うつ病と労務管理について重要な問題点について,ご説明いたし…

№2172 副業すると残業可能時間が減ります

№2172 副業すると残業可能時間が減ります 社員のオフタイムは自由に使えるので,副業・兼業も自由というのが法律上の原則だ。しかし,副業は職務に影響を与えることがあるので,就業規則上原則として禁止することができる。現在,政府は副業を促進する立場な…

№2171 社長,副業してもいいですか?

№2171 社長,副業してもいいですか? 社員が副業していいですかと聞いてきたらあなたならどうします? 正社員の副業はだめでしょうというのがあなたの常識かもしれない。ほとんどの会社では就業規則に副業,兼業の禁止をうたっていると思う。しかし,法律論…

№2156 年俸制で勘違いすること

№2156 年俸制で勘違いすること 年俸制でも割増賃金が発生します 「うちは年俸制だから残業代はいらない」などと言っている経営者はいないだろうか。 プロ野球選手では年俸という言葉が出てくる。これは,労働者の具体的成果,業績を評価して賃金を払おうとい…

№2119 社員の兼業は OK?

№2119 社員の兼業は OK? 社員の兼業が禁止される理由 就業規則で正社員の兼業禁止を定めることが普通だ。しかし,本来オフタイムに社員が何しようと自由で、雇用契約は労働時間を制約しているにすぎないはずだ。 就業規則で社員の私生活を拘束できるのは,…

№1992 定年後の再雇用を拒否できるか

№1992 定年後の再雇用を拒否できるか 60才ではまだまだ働ける 継続雇用制度ができて,60才定年に対する各社各様の工夫が行われている。 いまや,60才といういう働いて当たり前,還暦などとんでもないという感じになっている。かつての55才定年制はいったいな…

№1987 会社を辞めていく君へ

№1987 会社を辞めていく君へ 社長の悩み 社員が辞めるのは経営者としてはかなりつらい。時には辞めてくれて良かった思うことがあるかもしれないが、一般的にはつらい。特に長く勤めている社員がやめるのはいやな気持ちだろう。こうした社長の悩みはある種の…

№1982 試用期間でも解雇できません

№1982 試用期間でも解雇できません 試用期間に対する大きな誤解 採用時、3ヶ月間試用期間とするという条件をつけている場合が多い。少なくない社長は試用期間内はいつでも正式採用拒絶できると思っている。しかし、これは大きな誤りだ。 試用期間とはいって…

№1928 労働条件の変更と労働者の同意

賃金体系を変えたり、使用者にやめてもらうような場合、私たちは経営者に対して同意書や辞表をとっておくように指導する。労働者と使用者との関係は契約関係で結ばれているため、労働者の意思の表明は非常に重要だからだ。 こうした事情は労働者にも分かる。…

№1924 懲戒解雇と普通解雇

№1924 懲戒解雇と普通解雇 解雇の判断は難しい 従業員が職場を乱すような行為をした場合には解雇という措置もあり得る。解雇については労働者の生活を著しく変えるものであるため何かと制限が多い。多くは社労士などと相談していると思うが、社労士の質もい…

№1917 同一労働同一賃金をどう判断するか

№1917 同一労働同一賃金をどう判断するか 1. 同一労働同一賃金に向けて法整備が進められている 政府は同一労働同一賃金政策を推し進めようとしている。これは同じ仕事をしていれば同じだけ支払わなければならないとする考え方だ。政府は現在正規雇用と非正規…

№1913 アイドル恋愛禁止条項

№1913 アイドル恋愛禁止条項 アイドルと芸能プロダクションとの関係は不透明なことが多い。契約関係は委任か、雇用かよくわらかないところもある。それはともかく、アイドルになったら恋愛は禁止、性的関係は御法度だ。 東京地裁はこうした恋愛を禁止する条…

№1904 懲戒解雇のプロセス

№1904 懲戒解雇のプロセス 「解雇」は労働者にとっては経済的にも社会的にも大きな打撃を与える。人生設計を大きく違ってきてしまうことだろう。特に懲戒解雇となると退職金が出ないの普通だし、失業保険においても「重責解雇」として扱われ会社都合解雇によ…

№1899 職場内の不倫と労働問題

職場内で不倫行為については企業は対応に困る。 職場内で露骨な態度をとられると社内の雰囲気を悪くする。特に女性社員からすれば許せない人たちとうつるかもしれない。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら → http://www.green-justice.com/bus…

№1891 マタニティハラスメント

№1891 マタニティハラスメント 最近、妊娠を理由とした降格処分ことについて責任を認めた最高裁判例が出されている(H26.10.23.民集68.8.1270)。 詳しくはこちらのブログへ その1 → http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/39414835.html その2 → http://blog…

№1884 「労使見解」と解雇

№1884 「労使見解」と解雇 私が所属するあいち中小企業家同友会には「労使見解」というものがある。1975年に発表されたもので、経営者の責任、労働者と経営者の関係について述べている。 経営を維持,発展させる責任 労使見解では経営者の責任とは何かという…

№1882 労働災害中は解雇できない?

№1882 労働災害中は解雇できない? 労働基準法19条は労働災害のため休養中は解雇できないとしている。 正確には「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間」は「解雇してはならない」と定めている。 この解雇制限…

№1881 懲戒解雇って何だろう?

№1881 懲戒解雇って何だろう? 懲戒処分は訓告、戒告、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇などがある。事に処してどれを選択するのかは難しく、弁護士が相談を受けた場合には裁判例を引用しつつ顧問先にアドバイスすることになる。 組織秩序を維持する上で…

№1877 有期雇用契約の更新

№1877 有期雇用契約の更新 【高齢者雇用安定法のお話】 高年齢者雇用安定法が改正されて、経営者としては65歳まで従業員の雇用を確保しなければならなくなった。雇用確保が義務づけられているが、定年制を延長する必要は無い。会社としては定年後退職し、再…

№1873 配転命令に応じない

№1873 配転命令に応じない 労働者は労働契約によって事業者の指揮命令下に入ることになる。「配転命令権」は使用者の指揮命令権の一つということになる。労働契約によって生まれる権限なので、どんな場合に配転命令を出すことができるかは労働契約の解釈によ…

№1871 同一労働同一賃金って?

№1871 同一労働同一賃金って? 同一労働同一賃金の議論が近頃やかましい。同一労働同一賃金というのは職務内容が同一または同等の労働者に対し同一の賃金を支払うべきという考え方をいう。確かに、同じ仕事をしているのに正規雇用と非正規雇用との賃金格差は…

№1858 労使の泥仕合

№1858 労使の泥仕合 経営者たるもの労働組合から逃げてはならない。労働組合の団体交渉権は憲法上の権利として強力に保障されているため正面切った交渉は避けられない。経営者としては正面からぶつかり、道理をとき、時には社内の事情も説明して誠実に交渉に…

№1839 障害者の雇用と安全配慮

№1839 障害者の雇用と安全配慮 障害者の権利に関する条約が2014年に批准された。それに伴い障害者雇用促進法なども整備され、事業主に、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置を講ずることが義務付けられている。 中小企業においても障害…

№1827 懲戒事由と退職金

№1827 懲戒事由と退職金 懲戒事由がある場合に退職金は支払わないというのは半ば常識化しているが、労働法の世界では単純ではない。 退職金の支払いは労働契約の一部なので、労働契約上退職金を支払う根拠がなければ退職金支払い義務は発生しない。退職金が…

№1823 会社の倒産と社員の解雇

№1823 会社の倒産と社員の解雇 会社が倒産する場合、最も考慮されるのが社員の行く末だ。社長は社員の生活のためにあらゆる努力を行うのであるが万策つきることもある。倒産と社員の解雇の関係は次の通りとなる。 ① 倒産発表の日を決める。 この時、最大の考…

№1813 減給するには・・

№1813 減給するには・・ 減給は不利益変更と言って労働者の同意無くして許されない(労働契約法8条)。しかし、やむえない場合は許されるとするのが判例だ(第四銀行事件最高裁判決(最高裁平成9年2月28日第二小法廷判決)。この判決を受けて労働契約法1…

№1807 請負と派遣の区別、最近の事情

№1807 請負と派遣の区別、最近の事情 最近、工場現場の一部を社内現場として業務請負契約にする形態に関する高裁判決が出された。原審は実質派遣契約で違法としたが、高裁は請負契約であると認定した。その違いは次の通りだ(東京高裁H27.11.11判時2288号102…