名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№2458 定期借家権

関東を中心に「定期借家権」なる契約が徐々に広がっている。建物賃貸借は借地借家法という法律によって借家人が強く保護されている。いわゆる「居住権」とかいわれているものがそうだ。いったん貸したら返ってこないとよく言われる。例えば期限が来ても、法…

№2457 賃貸物件で出火した場合の対応

出火は思わぬところで発生する。自社が借りている地下駐車場で自社自動車が出火するとスプリンクラーが発動したり、消化剤が自動散布されたりして大変なことになる。オフィスであれば自社は水浸しになる上、下階や隣接テナントも水浸しになってしまう。共用…

№2456 競争は有益か?

「競争しない競争戦略」を読み始めた。企業法務を実施する上では経営学は非常に重要だ。法的な判断は経営者が考える戦略を具体的に見えるようにすることでもあるからだ。著者はマイケル・ポーター学?の専門家だ。 リーガルサービスには経営学は必要 例えば…

№2455 複数契約の解除

取引関係が複雑になってくると同じ当事者間でも複数の契約を締結する場合がある。例えばリゾートマンションの区分所有権で不動産売買契約、これとセットでリゾート施設の利用権契約を締結する場合がある。 M&A契約でも、当事者間では株式の売買契約であるが…

№2454 土地売買で土壌汚染関連条項の注意事項

土地取引をする場合、土壌汚染がどうしても気になる。土地の経歴から見て有害物質汚染がないというだけでは安心できない場合がある。法整備のない昭和20年代から50年代にかけての廃棄物処分場跡地だったり、自然由来の有害物質というのも存在する。 土壌中有…

№2453 近頃多い、委任契約エトセトラ

民法には似たような契約として委任契約、請負契約、雇用契約と似たような契約が存在している。雇用契約は労務に対して対価を支払う契約で、各種労働法が適用されるため他の契約とははっきり異なることなる。 労働契約に対する諸規制を脱法するために請負や委…

№2452 難しい復職のタイミング

休職命令とは解雇の猶予を言います 社員が私傷病で働けない状態になった場合、本来解雇となるわけだが、休職命令を出して疾病の回復を待つことが多い。休職期間を経てもなおも回復しなければいわゆる自然退職となる。休職命令とはいっても背後に退職を控えて…

№2451 懲戒解雇のプロセス

解雇には普通解雇と懲戒解雇とがある。懲戒解雇は就業規則上の懲戒事由に該当する場合で、「処罰」の意味合いがある。就業規則には一般的には懲戒事由とともに懲戒手続きが定めてある。 懲戒解雇は最も重い懲戒 懲戒解雇は懲戒の中でも最も重いもので、懲戒…

№2450 医療法人の運営権取得契約の有効性

医療には社会性があるので医療法人は株式会社などと違った規制が存在する。会社であれば株式を譲渡すれば企業の運営権を譲ることができるが、医療法人の場合は単純ではない。 医療法人は非営利 医療については常に「非営利」であることが求められているため…

№2449 値引きしたのに発注がない場合

3年間契約する、次の契約するといって守らない場合大口取引先と契約する場合、今後3年間契約するから安くしてくれとか、次の発注があるから安くしてくれとかいった交渉は普通に行われる。しかし、値引きしたものの期間が短かったり、次の発注がなかったりす…

№2448 国際送金による詐欺

国際送金は最近では電子情報によって指示されることがほとんどだ。そのために、取引先を装って振り込ませる詐欺も多い。取引金額が大きいと被害も大きい。取引上の本人確認は大きな課題だ。 東京地裁令和3年8月25日判決事例(判時2528号65頁)もこうした事例…

№2447 「公益通報」の考え方

社内に不正がある場合、それを社員が指摘すれば経営者としては正しい経営に貢献したと喜ばなければならないが、そうでもないところがこの問題の難しいところだ。不正行為というと、経営者としては愉快な話ではない。ここからパワハラ問題に発展することも少…

№2446 土壌汚染と売買契約

2002年土壌汚染対策法(「土対法」)が制定された結果、土地売買では土壌汚染がセンシティブな課題になっている。土地売買契約においても土壌汚染に関する契約条項が様々な形で工夫されている。土壌汚染調査もけっこうお金がかかるため省略したり、土壌汚染…

№2445 商標権侵害警告書

インターネットによって自社ブランドの確立も比較的容易になっている。楽天市場や仮想空間で検索上位にあげるために多くの会社が努力を続けている。資金もばかにならない。 しかし、こうした自社ブランド、他社にまねされたり、他社ブランドをもじって利用し…

№2444 内示書の役割

内示に従って製品を作り上げることがありますが、途中で内示と取り消されると大きな損失を被ることがあります。特注品で他に転用が効かない場合は準備行為にかかった費用をなんとかしなければなりません。これに対する対応はどうしたらよいでしょうか。 内示…

№2443 店内転倒で賠償責任を負うことがあります

店舗内の個室トイレに入室しようとした67歳の女性がトイレの段差に足を取られ,転倒して骨折などした事例で,店舗運営者に管理責任が問われた事例がある(横浜地裁R4.1.18,判時2520,53頁)。店舗経営者は転倒防止のために注意が必要だ。 施設管理責任とい…

№2442 提携に先立つ秘密保持契約  

一方が販路に強み,一方が技術・アイディアに強みという業務提携はかなり多い。この場合,販路を持つ側は顧客情報などを取られては大変と思うだろうし,技術を持つ側は技術情報を取られては大変と思うだろう。業務提携ではお互いフェアに行くという信頼関係…

№2441 業務委託契約における委託内容の明確化

ビジネス法務8月号では表題の記事が掲載されている。業務委託とは文字通り特定の業務を行ってもらう契約なのだが,何を行ってもらうか不明確な場合がある。学生達には仕事を実現する契約が請負で,単なる事務つまり人の手足となって動くことが委任だと説明し…

No.2440 出産後1年未満の女性労働者に対する解雇

男女雇用均等法9条3項は,事業主に対して,女性労働者の妊娠,出産等を理由として,解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定めている。同条4項は妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は原則として無効としてい…

自由診療ってどこまで自由?

自由診療が増えてきました 日本では公的医療保険制度が発達しており,保険制度の適用のない自由診療というのはどこまで「自由」なのかよく分からないところがある。しかし,美容外科や美容皮膚科が一般標榜科目になって以降,自由診療領域が増えている。歯科…

№2437 安売り表示と景表法違反

メーカー希望小売価格と二重線で消して安い価格を表示する,二重価格表示は時として景表法違反となる。 景表法5条は「一般消費者に誤認される表示」で「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの…

№2437 ブランド商品の販売での注意事項

ブランド商品を販売する場合,登録商標や特許など知財関係をしっかりしておくことは当然のことだ。自社では販売力がないため,他者の販売網などを頼る場合には知財関係ばかりでなく,ある種の取引の確実性や,契約終了後も当該商品や類似商品を販売させない…

№2436 弁護士費用は請求できない?

弁護士費用はけっこう高い。500万円請求すると着手金で40万円ぐらい,報酬で50万円ぐらい,5000万円請求すると着手金で100万円から200万円ぐらい,報酬で300万円から500万円ぐらいとなる。依頼者からはこれは相手方から取ることできないのかとよく質問される…

№2435 契約書作成,検討の基本

顧問契約の重要な業務に契約書などの法律文書のリーガルチェックがある。顧問先よりリーガルチェックの依頼が来た場合,当事務所では急ぎか,そうでないかを必ず確認するようにしている。その上で,顧問先にチェックの完了する予定日を伝え,必ず期限を守る…

№2434 競争しない競争戦略

前から読みたいと思って放置した本に「競争しない競争戦略」(山田英夫,本経済新聞社)がある。マイケル・ポーターの競争戦略が実は競争しない戦略であるという発想は実に目からうろこだった。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら → http://www.…

№2433 有期雇用が無期転換した場合の労働条件

労働契約法18条では有期雇用の労働契約が更新されるなどして通算5年を超えた場合,労働者に無期雇用に転換する権利が与えられる。いわゆる非正規雇用では労働者の地位が不安定であるため,正規雇用になるチャンスを与えようというものだ。 有期雇用から無期…

№2432 執行役員の地位

有能な社員を執行役員として重役に抜擢する場合がある。特定の部門を執行に責任を持たせるという点,重役として明確に経営側の位置づけを持たせるという点,そして,アメリカの会社組織にならって取締役とは別に執行役員を設けることで経営の効率化を図ろう…

№2431 中国懲罰的損害賠償について

2021年に中国民法が施行された。中国民法ではいくつかの懲罰的賠償のルールが定められている。 日本の制度では損害賠償は本来文字通り損害を賠償するものであって,それ以上の賠償はない。日本の法制度には懲罰的賠償という考え方はない。あるとすれば,労働…

№2430 請求書を出しても時効は止まりません

よくある誤解が,古い債権でも請求書さえ出しておけば保全されるという考え方だ。時効の説明をすると「でも先生,請求書を出していますよ」という反論がある。しかし,請求書では時効の効力は維持されてしまう。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこ…

№2429 AI活用法は,AI使わない場合にも役に立つ

今月のハーバードビジネスレビューは「マーケッティングにAIを実装する」という特集だ。今や大企業ではAIを自社経営にどう活用するかが大きな課題となっている。ディープラーニングが開発され,AIの可能性はいっきに広がった感がある。AIに関する論文は中小…