前から読みたいと思って放置した本に「競争しない競争戦略」(山田英夫,本経済新聞社)がある。マイケル・ポーターの競争戦略が実は競争しない戦略であるという発想は実に目からうろこだった。
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マイケルポーターによると,業界を「互いに代替可能な製品をつくっている会社の集団」と定義し,市場の獲得を巡って競争することになる。競争に関してはポーターの有名な5つの要素,5forceがある。
競争社会は大変
競争社会は価格競争はあるは,いつもアイディア出さないととりのこされるわと消耗する部分もある。しかし,競争があることで,企業の能力は向上する。大企業に下請けいじめだと言われつつ,大企業の厳しい要求に応えていくことで能力は高まり,企業は価値にしていく。顧客獲得競争の中で新しい顧客層に目が向けられる。これは,社会の新しいニーズを開拓していくのと同じだ。組織も活性化するだろう。
競争優位とは競争回避の行動
でも,よく考えてみよう。
競争によってえら得るメリット部分というのは,実際には「業界」や「市場」の枠組みから一歩抜きん出る部分に存在する。従来とは何か違うもので競争をしかけるということになる。つまり,単純な競争から脱皮する,実質的には「競争しない戦略」を選んでいるということも言える。
「競争しない競争戦略」の意味
現実社会では競争は避けられない。競争社会を前提に,本書は「できるだけ競争しない状態が企業に収益をもたらす」という考えから,論旨が組み立てられている。リーダー企業が参入し得ない小ロット分野,あるいはリーダー企業の企業イメージを崩してしまうような分野,などは市場の空白があるので,競争しない戦略が可能だ。場合によってはリーダー企業は協調し,相互に利益を分け合うというのもあるかもしれない。