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№2458 定期借家権

 関東を中心に「定期借家権」なる契約が徐々に広がっている。建物賃貸借は借地借家法という法律によって借家人が強く保護されている。いわゆる「居住権」とかいわれているものがそうだ。いったん貸したら返ってこないとよく言われる。例えば期限が来ても、法律上当然に更新されてしまう。

 

 定期借家権はこうした「当然に更新」が認められない。期間満了の半年前に予告すれば期限通り終了させることができる(借地借家法38条)。

 

 例えば5年契約の定期借家契約を締結する法律上は5年後に内装や什器備品、造作などを撤去して返還することになる。最近のテナントはスケルトンといって、壁、天井、柱など構造体のみにして返還することが求められるため、5年後に返還せよとなると、内装などに投資した金額を回収できないこともあり、結構損失が大きい。

 

 また、5年後更新時期になると、家賃の値上げ交渉上不利になる。値上げがいやなら出て行ってくださいというやりとりが可能になってしまう。家主が建て替えたいと思って出て行ってくれと言われると出て行かなければならない。立退料は当然もらえない。

 

 テナント側に不利な契約であることは間違いないのであるが、優良物件となると競争が激しいので家主有利のもとこうした契約が締結される傾向にある。もちろん、家主としては空き期間が少ない方がよいので定期借家だからといってすぐ出て行ってくれというわけでもない。