名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№2456 競争は有益か?

 「競争しない競争戦略」を読み始めた。企業法務を実施する上では経営学は非常に重要だ。法的な判断は経営者が考える戦略を具体的に見えるようにすることでもあるからだ。著者はマイケル・ポーター学?の専門家だ。

リーガルサービスには経営学は必要

 例えば、依頼者が新しい事業を開始する場合には私たちは法的メリットの固定と法的リスクの回避を念頭に入れながら法律構成を考える。この場合、私たちは事業戦略上の関係者を図に示したりする。その図をみながら、依頼者がどうやって誰からどれほどの利益を得ようとしているか協議する。依頼者もこの協議の過程で、最初は漠然としていた利益がだんだん見えてくる。

 

競争は有益であり有害である

 本題に戻って、「競争しない競争戦略」の始まりはまず「競争」のイロハから始めている。著者は経営における「競争」の役割を述べている。ライバルの存在は自社の技術向上や営業戦略の向上をもたらす。顧客にも価格の低下あるいは商品の多様化をもたらしてくれる。中小企業が群雄割拠することで私たちには様々なニーズを満たす商品が誕生する。中小企業は大企業ではとてもできない小回りのきく仕事をしているし、経営者は大企業のエリートサラリーマンより遙かに高額な収入を得ている場合もある。

 

 競争のデメリットは当然ある。ライバルに負けてしまうと市場からの退場を余儀なくされる。競争が進めば買った側にも負けた側にも大きな損失が生じる。広告宣伝費用ばかりにお金を使い、さらに常にライバルの動向に気を遣い、先手を打たなければならない。いわゆる消耗戦によって疲弊してしまう。

 

自社のポジショニングと生態系

 企業にとって最適な戦略は可能な限り消耗を回避してかつ市場を拡大していく点にある。市場において確固たる地位を確保し、着実に自社の領域を拡大していくことだろう。しかし、それは自社単独で反映することを意味しない。自社の「分」を知り、他社との協力関係や顧客との信頼関係を維持して、自社がどこで利益をあげるか、自社のポジショニングを見誤らないことだ。

 生物非生物間の競争と共同関係、いわゆる生態系での個体群の諸関係は経営の世界にも応用できるとして諸説を紹介している。