名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

2021-01-01から1年間の記事一覧

№2435 契約書作成,検討の基本

顧問契約の重要な業務に契約書などの法律文書のリーガルチェックがある。顧問先よりリーガルチェックの依頼が来た場合,当事務所では急ぎか,そうでないかを必ず確認するようにしている。その上で,顧問先にチェックの完了する予定日を伝え,必ず期限を守る…

№2434 競争しない競争戦略

前から読みたいと思って放置した本に「競争しない競争戦略」(山田英夫,本経済新聞社)がある。マイケル・ポーターの競争戦略が実は競争しない戦略であるという発想は実に目からうろこだった。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら → http://www.…

№2433 有期雇用が無期転換した場合の労働条件

労働契約法18条では有期雇用の労働契約が更新されるなどして通算5年を超えた場合,労働者に無期雇用に転換する権利が与えられる。いわゆる非正規雇用では労働者の地位が不安定であるため,正規雇用になるチャンスを与えようというものだ。 有期雇用から無期…

№2432 執行役員の地位

有能な社員を執行役員として重役に抜擢する場合がある。特定の部門を執行に責任を持たせるという点,重役として明確に経営側の位置づけを持たせるという点,そして,アメリカの会社組織にならって取締役とは別に執行役員を設けることで経営の効率化を図ろう…

№2431 中国懲罰的損害賠償について

2021年に中国民法が施行された。中国民法ではいくつかの懲罰的賠償のルールが定められている。 日本の制度では損害賠償は本来文字通り損害を賠償するものであって,それ以上の賠償はない。日本の法制度には懲罰的賠償という考え方はない。あるとすれば,労働…

№2430 請求書を出しても時効は止まりません

よくある誤解が,古い債権でも請求書さえ出しておけば保全されるという考え方だ。時効の説明をすると「でも先生,請求書を出していますよ」という反論がある。しかし,請求書では時効の効力は維持されてしまう。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこ…

№2429 AI活用法は,AI使わない場合にも役に立つ

今月のハーバードビジネスレビューは「マーケッティングにAIを実装する」という特集だ。今や大企業ではAIを自社経営にどう活用するかが大きな課題となっている。ディープラーニングが開発され,AIの可能性はいっきに広がった感がある。AIに関する論文は中小…

№2428 免責条項の有用性

商品やサービスを提供する場合,「いかなる場合も一切責任を負わない」という条項は消費者契約法に違反して無効となる。インターネットで販売するときなど免責条項は注意する必要がある。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら → http://www.gree…

№2427 革命的! 中国民法典

経済成長著しい中国ではあるが,法律はバラバラしていたが,2021年1月1日,「中国民法典」が施行された。中国は1950年代から民法典の整備を進めてきたが何度も頓挫している。何しろ,民法というのは個人に所有権があることを前提に私人の自由な取引を保障し…

№2426 創造性は競争では作れない

今月号のハーバードビジネスレビューは最初の原稿は「イノベーションコンテストで競争を煽ってはいけない」というものだ。競争が過ぎるとパフォーマンスが低下するという実験結果が報告されている。確かに,東大生より京大生の方が創造的だという仮説が成り…

№2425 土地境界の確定ができない土地取引

不動産売買では土地境界を確定することが売主の義務であるが,どうしても隣地の立会が得られない場合がある。特に分筆が必要な場合,隣接土地所有者の同意のある確定測量図がないと困ってしまう。分筆はできないわけではないが,隣地土地所有者の同意という…

№2424 退職勧奨って違法?

解雇は正当理由が無ければ無効となる(労働契約法16条)。能力が低く,何度言っても改善しない場合にはやむを得ない場合もある。その場合は,教育の努力,配置換え,重なる勧告,減給などの段階的処分など,雇用側にかなりの努力が求められる。 解雇にいたる様…

№2423 「保証書」の効力

売買契約ではしばし保証書がついている。こういう文言を見たことはないだろうか。これはどのような意味を持つだろうか。 「取扱説明書,本製品貼付ラベルなどの注意書きに基づき正常な使用状態で保証期間内に故障した場合には,無料修理させていただきます。…

№2422 「能力不足」による解雇

労働者の能力不足,成績不良,適格性の欠如は,労働義務の不完全履行として解雇理由となりうる。しかし,雇用は労働者の生活に直結するものであるから解雇できる場合を厳しく制約している。経営者にとってはこうした「能力不足」についての解雇について判断…

№2421 インターネット上の誹謗中傷

Webを通じた宣伝は今やマスコミをしのぐ勢いになっている。その特徴は誰でも参加できるところにあり,食べログや旅ログなどの「口コミ」情報を見ながらお店を選ぶ人はかなり多い。そうした中で,誹謗中傷の書き込みがされると,事業者にとってはかなり痛手と…

№2420 企業経営と心理学

企業は所詮人で成り立っているので心理学は経営に役立つ。ハーバード大学ビジネススクールでも心理学は研究テーマになっている。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら → http://www.green-justice.com/business/index.htm 心の持ち方で現実はか…

№2419 請負契約における完成

請負契約というのはわかりにくい契約です。企業家にとって,自分の契約がどのようなものであるか正確に理解しておく必要があります。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら → http://www.green-justice.com/business/index.htm 「完成」する義務…

№2418 株主間での取締役選任合意の有効性

共同事業を開始するにあたって,役員選任を合意をする場合がある。例えば,A,B,Cが3人で合弁企業を設立する場合,全員必ず役員に選任する旨の合意をすることがある。 しかし,3人が仲間割れしたり,相続が発生して関係が希薄になると,誰かが排除されてし…

№2417 精神疾患に対する企業対応

ビジネス法務(2021年4月号)に「精神疾患に起因する社員の問題行動への労務対応」という特集があった。 精神疾患というのは素人には分からない疾患だ。代表的なもににうつ病があるが,診断書があれば一応そうなのかということになるが,それも必ずしも当てに…

№2416 連帯保証

事業活動に伴い,経営者の連帯保証を求めることがあります。金融機関の融資など典型なのですが,業務提携や製造物供給契約に際して経営者の連帯保証を求めることがあります。 企業取引は本来企業自体の信用に基づいてされるべきものですから,経営者個人の保…

№2415 デッドコピー

模倣品のことをデッドコピーというが,著作権や意匠権,特許権などの知的財産権を侵害する可能性がある。この場合,販売や輸入の阻止が可能となるが,知的財産権がないような場合には不正競争防止法を利用することになる。同法は「商品の形態(当該商品の機…

№2414 医師の応召義務

民法上は医院と患者との契約は準委任契約となります。委任契約というのは依頼者の指示に従って依頼者のために「事務」を行う契約です。契約ですから,引き受けるか否かは本来自由です。しかし,医には公共性があります。また,医療行為は医師が独占している…

№2413 合弁契約書の作り方

顧問先に対する私たちのサービスとして合弁契約書の作成というものがあります。例えば,中国やベトナム企業との間で何らかの事業提携を行い合弁契約を作成する場合などがそうです。最近は中国企業が日本に進出してくる例も増えているように思われます。弁護…

№2412 新型コロナウィルスに対する院内対応

新型コロナ感染防止と医師,看護師,技師など医療現場職員の安全との関係は法律上どのようになっているのでしょうか。病院職員に予防接種を義務づけることもできるのでしょうか。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら → http://www.green-justic…

№2411 認知症と意思決定

高齢者の認知症では加齢と共に脳に障害が生じ,徐々に認知機能が低下していく。判断力や意志力も低下する。長年つれそってきた長男夫婦に対して,突然腹を立て,そこに嫁に行った妹が登場して,お母さん,お父さんを連れ出したあげく,施設に入れ,さらには…

№2410 従業員のミスによる賠償問題

従業員がミスして第三者に損害を与えた場合,誰に賠償責任があるだろうか。法律上はミスした本人に当然賠償責任があるが,使用者責任と言って,雇い主にも責任が発生する(民法715条1項)。 使用者責任によって被害者に賠償した場合,使用者が従業員にその分求…

№2409 健康食品の表示問題

コロナ禍,空気浄化,ウィルス除去製品などの商品が売り出されている。食品や化粧品の分野でも,病気の予防,健康増進をうたった商品が売り出されている。しかし,こうした商品は時に誇大広告になりがちであり,表示にかかわる様々法律との関係に注意しなけ…

№2408 うつ病で自殺した事例

うつ病と分かって採用することがある。うつ病という言葉は一般的だが実際のところどうなのだろうかと迷う事が多い。精神科医でも判断が難しいところを事業者側が判断するというのは酷な場合がある。実態が分からず怠け者と言ってみたりするとNGだし,かとい…

№2407 協調性ない社員の解雇

協調性がない,能力が欠如する,会社としては解雇せざる得ない場合がある。しかし,法律上解雇は大きく制約されているため,解雇の判断は非常に難しいものとなる。不行跡が際だっているような場合には本人も納得しているので辞表提出ですむがあいまいな事例…