模倣品のことをデッドコピーというが,著作権や意匠権,特許権などの知的財産権を侵害する可能性がある。この場合,販売や輸入の阻止が可能となるが,知的財産権がないような場合には不正競争防止法を利用することになる。同法は「商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品」 の譲渡や輸入などを禁じている(法2条1項3号)。不正競争防止法は模倣可能な時から3年たつと利用できなくなるので注意が必要だ。
デッドコピー類似の事件
コンタクトレンズの販売をX社より委託されていたY社が委託契約終了後,X社作成のチラシと類似したチラシを頒布したことから著作権違反で訴えられた。チラシの①宣伝文句や②コンタクトレンズ比較表,③説明文について,著作としての独創性があるから,これをまねがY社は違法であると訴えていた。
著作権が否定される場合
創造性が否定される場合は一般に次のようなものがあげられている(知財高裁H20.7.17.判時2011号137頁ライブドア傍聴記事件)。
① ごく短いものであったり,表現形式に制約があるため他の表現が想定できない場合
② 表現が平凡かつありふれたものである場合
上記コンタクトレンズちらし事件は表現が平凡で創造性はないとされ,請求が棄却された(大阪高裁R1.7.25判時2467号116頁)。HPやパンフレットなどに著作権侵害を認めた事例は存在する。入門東洋医学事件(東京地裁H22.7.8),永禄建設会社案内事件(東京高裁H7.1.31判時1525号150頁)は肯定例である。
著作権が否定されても不法行為が成立する場合がある
これは著作権法が「規律の対象とする著作物の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情」が存在する場合は不法行為の成立する余地があるとされている(最判23.12.8判時2142号79頁北朝鮮事件)。
これは侵害された著作物に対して,多大な労力・投資が結実されたなどの実情があり,それ自体が取引の対象となるようもので,それを侵害者が理解しているような場合などに成立するのではないだろうか。