名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№2416 連帯保証

 事業活動に伴い,経営者の連帯保証を求めることがあります。金融機関の融資など典型なのですが,業務提携や製造物供給契約に際して経営者の連帯保証を求めることがあります。
 企業取引は本来企業自体の信用に基づいてされるべきものですから,経営者個人の保証を求めるのは行き過ぎといっていいように思います。金融機関に関係してはいろいろ自粛の傾向があります。

(経営者保証ガイドライン経営者保証に関するガイドライン )

 そもそもこうした経営者保証の法律はどのようになっているのでしょうか。新しい民法では保証債務をより厳格にしています。業務提携契約に古くから使用しているひな形を利用している場合には見直しが必要となります。

 

名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら

 

保証債務は書面が必要です
 民法では保証債務は書面でしなければなりません(446条)。安易に保証人になることを防ぐ趣旨なので,書面には保証対象である主たる債務が減額に記載される必要があります。単に名前が連記されるだけでは保証の意図が明確でないですし,主債務の記載が不明確だと無効になります。

 

根保証(ねほしょう)
 業務提携契約をした場合,一切の債務を保証するというような条項が存在することがあります。こうした保証対象である債権が特定していない連帯保証を根保証と呼びます。
 保証金額が青天井なのはいかにも負担が大きすぎるので,民法は個人が根保証する場合は限度額を必ず定めるよう義務づけています(465条の2)。
 
事業に係る債務の保証
 事業のために個人が保証人になる場合は特に厳格になっていて,原則として公正証書でなければなりません(465条の6)。但し,理事や取締役など経営者や会社オーナー,それに準じる人が保証人になる場合には公正証書は必要ありません(465条の9)。

 

情報提供に関する問題
 保証人については従来から主債務者の情報が入らないという問題がありました。「けっして迷惑をかけない」などというのは常套文句です。個人の根保証の場合,負担が大きくなるので民法は「事業に係る債務についての保証」の場合,契約締結時に財産状況を報告する義務があるとしています(465条の10)。事実と異なる報告がされたこと,債権者がその虚偽報告していることを知り得たような事情がある場合には保証契約を取り消すことができます(465条の10)。

f:id:lawyer-kago:20210112233203j:plain