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№2419 請負契約における完成

 請負契約というのはわかりにくい契約です。企業家にとって,自分の契約がどのようなものであるか正確に理解しておく必要があります。

 

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「完成」する義務というのが大きなメルクマール
請負契約は建築などものの引渡があるような請負は売買と変わりありません。特定の工場内で製造に携わる場合は,労働契約に近くなります。ソフトウェア開発など作業そのものに価値があるような場合には委任に近いばあいがあります。こんな具合に,請負は変幻自在のカメレオンのような性格を持ちます。

 

請負は「完成」が大事
 請負の最大の特徴は仕事を完成させる義務がある点です。完成していなければ契約不適合となり,修補や請負代金の減額,損害賠償請求ということができます。
 しかし,例えばいろいろ指図が入って,かえっておかしくなったということもあります。支給品に欠陥がある場合もあります。この場合は注文者の責任ですから,欠陥に対して請負人は責任を負いません。

 

「完成」ってなんだろう
 完成という状態が曖昧な場合があります。
例えば,ソフトウェア開発の場合,要件定義に沿ってシステムを作り上げていく訳ですが,途中注文者の具体的な要求をくみ上げたりして,少しずつ内容が違ってくることもあります。作成者と注文者のイメージのずれから,成果物を拒否する場合もあります。
製造ライン製作を請け負っても,完成後タクトがでないなど,注文者のイメージと異なることがあります。
こういう場合,仕事が完成したと言っていいのでしょうか。

 

「完成」をめぐる争いは多数あります
 仕事が不完全である場合に完成と言ってよいかは大きな問題となります。判例は「そこそこ」できていれば完成とみなします。つまり,いったん完成したとみた上で,不完全部分は修補や交換,代金減額,損害賠償の問題として処理しなさいという考え方です。
 この「そこそこ」というのは曖昧な言葉なので,法律の世界では契約上予定していたプロセスが一応完了していれば(予定工程の終了),完成とみてよいのではないかという考え方をします。

 

不完全履行をめぐる争い
 契約を履行したが不完全であったという場合,私たちはこれを不完全履行と呼びます。また,契約に適合していないので,こうした場合に発生する責任を契約不適合責任と呼んでいます。この場合,修補,交換,代金減額,損害賠償,解除などが問題になります。

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