名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

中小企業法務

№2458 定期借家権

関東を中心に「定期借家権」なる契約が徐々に広がっている。建物賃貸借は借地借家法という法律によって借家人が強く保護されている。いわゆる「居住権」とかいわれているものがそうだ。いったん貸したら返ってこないとよく言われる。例えば期限が来ても、法…

№2455 複数契約の解除

取引関係が複雑になってくると同じ当事者間でも複数の契約を締結する場合がある。例えばリゾートマンションの区分所有権で不動産売買契約、これとセットでリゾート施設の利用権契約を締結する場合がある。 M&A契約でも、当事者間では株式の売買契約であるが…

№2449 値引きしたのに発注がない場合

3年間契約する、次の契約するといって守らない場合大口取引先と契約する場合、今後3年間契約するから安くしてくれとか、次の発注があるから安くしてくれとかいった交渉は普通に行われる。しかし、値引きしたものの期間が短かったり、次の発注がなかったりす…

№2448 国際送金による詐欺

国際送金は最近では電子情報によって指示されることがほとんどだ。そのために、取引先を装って振り込ませる詐欺も多い。取引金額が大きいと被害も大きい。取引上の本人確認は大きな課題だ。 東京地裁令和3年8月25日判決事例(判時2528号65頁)もこうした事例…

№2446 土壌汚染と売買契約

2002年土壌汚染対策法(「土対法」)が制定された結果、土地売買では土壌汚染がセンシティブな課題になっている。土地売買契約においても土壌汚染に関する契約条項が様々な形で工夫されている。土壌汚染調査もけっこうお金がかかるため省略したり、土壌汚染…

№2444 内示書の役割

内示に従って製品を作り上げることがありますが、途中で内示と取り消されると大きな損失を被ることがあります。特注品で他に転用が効かない場合は準備行為にかかった費用をなんとかしなければなりません。これに対する対応はどうしたらよいでしょうか。 内示…

№2443 店内転倒で賠償責任を負うことがあります

店舗内の個室トイレに入室しようとした67歳の女性がトイレの段差に足を取られ,転倒して骨折などした事例で,店舗運営者に管理責任が問われた事例がある(横浜地裁R4.1.18,判時2520,53頁)。店舗経営者は転倒防止のために注意が必要だ。 施設管理責任とい…

№2437 ブランド商品の販売での注意事項

ブランド商品を販売する場合,登録商標や特許など知財関係をしっかりしておくことは当然のことだ。自社では販売力がないため,他者の販売網などを頼る場合には知財関係ばかりでなく,ある種の取引の確実性や,契約終了後も当該商品や類似商品を販売させない…

№2436 弁護士費用は請求できない?

弁護士費用はけっこう高い。500万円請求すると着手金で40万円ぐらい,報酬で50万円ぐらい,5000万円請求すると着手金で100万円から200万円ぐらい,報酬で300万円から500万円ぐらいとなる。依頼者からはこれは相手方から取ることできないのかとよく質問される…

№2435 契約書作成,検討の基本

顧問契約の重要な業務に契約書などの法律文書のリーガルチェックがある。顧問先よりリーガルチェックの依頼が来た場合,当事務所では急ぎか,そうでないかを必ず確認するようにしている。その上で,顧問先にチェックの完了する予定日を伝え,必ず期限を守る…

№2430 請求書を出しても時効は止まりません

よくある誤解が,古い債権でも請求書さえ出しておけば保全されるという考え方だ。時効の説明をすると「でも先生,請求書を出していますよ」という反論がある。しかし,請求書では時効の効力は維持されてしまう。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこ…

№2428 免責条項の有用性

商品やサービスを提供する場合,「いかなる場合も一切責任を負わない」という条項は消費者契約法に違反して無効となる。インターネットで販売するときなど免責条項は注意する必要がある。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら → http://www.gree…

№2425 土地境界の確定ができない土地取引

不動産売買では土地境界を確定することが売主の義務であるが,どうしても隣地の立会が得られない場合がある。特に分筆が必要な場合,隣接土地所有者の同意のある確定測量図がないと困ってしまう。分筆はできないわけではないが,隣地土地所有者の同意という…

№2423 「保証書」の効力

売買契約ではしばし保証書がついている。こういう文言を見たことはないだろうか。これはどのような意味を持つだろうか。 「取扱説明書,本製品貼付ラベルなどの注意書きに基づき正常な使用状態で保証期間内に故障した場合には,無料修理させていただきます。…

№2419 請負契約における完成

請負契約というのはわかりにくい契約です。企業家にとって,自分の契約がどのようなものであるか正確に理解しておく必要があります。 名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら → http://www.green-justice.com/business/index.htm 「完成」する義務…

№2416 連帯保証

事業活動に伴い,経営者の連帯保証を求めることがあります。金融機関の融資など典型なのですが,業務提携や製造物供給契約に際して経営者の連帯保証を求めることがあります。 企業取引は本来企業自体の信用に基づいてされるべきものですから,経営者個人の保…

№2401 自然災害と債務不履行

台風など自然災害が大型化し,企業では危機管理が問題になっている。コロナ禍も陣地の及ばぬ領域の問題ということであれば災害みたいなものだ。取引をうまく履行できなかった場合,災害あるいはコロナというのはいいわけになるだろうか。 この問題は法律の世…

№2399 COVID-19と納期の遅れ

COVID-19によって世界的に経済の麻痺状態が続いている。部品,材料が手に入らない,陽性者や感染者が発生しために生産や建設の現場の一時閉鎖を余儀なくされたなどといった問題が生じている。結果として納期が遅れてしまうということになる。このような場合…

№2398 COVID-19は不可抗力?

COVID-19のために経済活動はすっかり麻痺状態になってしまった。COVID-19が陽性者が出て工場や建設現場の操業が一時的に止まってしまうことも珍しいことではない。事業者は日々の管理,厳格な班分け,在宅ワークなど感染リスクを最小限にしようと懸命だ。 部…

№2387 官公庁の圧力により役員を退任した事例

官公庁を相手に事業を行っている事業者が役所の政策に異を唱えた場合、役所側は陰湿な嫌がらせを始める場合がある。そのため、例えば土木、建築関係の事業者はなかなか役所に逆らえない。 本件は国土交通省発注のコンサルタント事業がいわゆる天下り先に限定…

№2386 プラットフォームの法律上の問題点

ビジネス法務2019年8月号、9月号にプラットフォームの法律上の問題点が整理されている。GoogleなどのGAFAがプラットフォーム(PF)のビックとして有名だが、現在では大小様々なPFが存在する。PFの利益率は70%とも言われ、高収益ビジネスであるだけに熱も大…

№2379 サプライチェーンマネジメントの法的課題

倉庫事業を展開するお客様と顧問契約したので、最近サプライチェーンマネジメントの勉強を進めている。IOTやAIの発達により、サプライチェーンが急速にスマート化している。DASとか、DPSとか分からない言葉が飛び交っている。 ①通信システム、②輸送手段、物…

№2360 製造物責任(PL責任)での注意点

工業用大型熱風循環式乾燥装置から発火し、工場が火災で焼失した事件で、乾燥装置製造業者に製造物責任を認めた事例がある(H21.8.7判タ225頁)。製造物責任法は製品に欠陥、つまり「通常有するべき安全性」を欠いた場合に賠償責任を認めている。製造物責任…

№2355 提携に際しての競業避止義務

競業関係にある事業を避ける義務を私たちは競業避止義務と呼んでいる。従業員や取締役が現役中ライバル会社に勤務することは本来禁止される。退職後は自由だが場合によっては禁止契約が有効となる。 業務提携する際にも図面などを提供するが、秘密保持契約と…

№2353 製造のノウハウを守る契約

我々弁護士は勉強してなんぼの商売なので日々勉強だ。一つの裁判例からいろいろ学ぶ。さいたま地裁の事例は1000万円超える半導体容器洗浄装置の製造に関する事例だ。この事例では契約内容ですでに勝負が決まっていた。締結時の対応がいかに重要か物語る事例…

№2351 借金付けになるとだまされやすい

企業経営に行き詰まると経営者はだんだん目先のことしか考えなくなって、判断の合理性を失う。 仕入先や協力企業への支払いを優先しなければならないのに、銀行を先にしようとしたり、なぜかサラ金への支払いを優先させたりする。税金滞納の恐ろしさを知らな…

№2350 不動産取引は危険がいっぱい

不動産取引は一般に価格が高いことや、反社会勢力が入り込みやすいため、大きな土地についてはかなり注意を要する。大手不動産会社ですら、地面師と言われる連中に大金をだまし取られてしまう。私たち弁護士も巨額の不動産取引となると相当気を遣う。 名古屋…

№2330 消費者契約法による不動産売買解除

№2330 消費者契約法による不動産売買解除 1億円近い売買が解除された 不動産売買は高額な取引になるが,消費者契約法で取り消された事例がある。土地代金は9778万円とかなり高額だ。 問題は緑化率30%無かったことだった この事件の主な争点は,本件不動産が…

№2313 汚染不動産の売買

№2313 有害物質ある不動産の売買 商品の欠陥を「瑕疵」という言い方をします 工場用地などは売買契約後に有害物質や廃棄物の存在が発覚することがあるため契約上注意を要する。こうした有害物質などについては法律上に「瑕疵(かし)」とか「欠陥」とかいう言…

№2281 ビジネス法務の勘所

№2281 ビジネス法務の勘所 企業の法務部向け雑誌「ビジネス法務」2019年4月号は契約書審査を特集している。企業内法務部の関心事がわかり,企業法務を扱う弁護士にとっても参考になる。 企業法務はビジネスの「賞味期限」との勝負 企業法務にとって重要な要…