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№2423 「保証書」の効力

 売買契約ではしばし保証書がついている。こういう文言を見たことはないだろうか。これはどのような意味を持つだろうか。

「取扱説明書,本製品貼付ラベルなどの注意書きに基づき正常な使用状態で保証期間内に故障した場合には,無料修理させていただきます。」

 

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保証とは故障の原因は問わないという意味
 保証書は半年あるいは1年の保証期間で不具合が生じた場合には無償で修理するというものだ。不具合が生じた原因にもともと商品の欠陥があったかどうか問わず,なにしろ期間内に不具合が生じれば修理などするという意味になる。実際,消費者側が故障原因を明らかにすることは不可能に近い。

 

「正常な使用状態」で初めて保証される
 保証書の記載をよく見てほしい。「正常な使用状態」で生じた不具合を保証している。完全防水でもないのに海中で使用したり,許容電気量を超えて使用して機械が作動しなくなったりした場合には保証の枠外ということになる。
 この場合,「正常な使用状態」であれば無償,そうでなければ有償で修理ということになる。

 

「正常な使用」であることを立証するか
 東京地裁H19. 7. 23判決は保証書では故障の原因を消費者は負わないとしている。しかし,「正常な使用」であるかどうかは消費者側が立証しなければならないとしている(WestLaw,2007WLJPCA07238017)。

 

「本件無料修理規定が規定する「使用上の誤り」等の事由は,正常な使用状態とはならない場合をわかりやすく例示して示したものと解されるから,請求者としては,自らの使用状態が正常なものであったことを基礎付ける外形的事実を主張立証すべきことになる。」

 

有償になった場合,仕事前にきちんと説明しよう
 時に何も告げないで修理し,「有償ですから支払って下さい」という場合がある。消費者からすれば,有償で注文するつもりはなかったということになるから支払う気にならないだろう。
 この場合,新たな有償契約を締結しないと請負代金はもらえないのが原則だ。当事者としては有償という意識がないため,請負代金は請求できなくなる可能性が高い。

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