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№2396 中国消費者権益法

  中国消費者向けに商品を輸出する事業者は中国消費者権益法ぐらいは知っておいた方がよい。
 中国では2014年に消費者権益法が改正され,消費者保護制度が大幅に整備されてきた。基本的には日本の制度ととよく似ており,日本の消費者保護をひとまとめにしたような内容になっている。
 ただ,賠償範囲や,行政罰など日本とは異なる点も多く,本格的な対応を考えるなら中国弁護士と相談することは不可欠だ。当事務所ではこうした問題については中国側法律事務所と提携して連携を図っている。

 

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中国では消費者権益法によって消費者保護が図られている 

 中国消費者権益法はインターネット販売や訪問販売,詐欺的広告など消費者の情報不足,判断能力の欠如につけ込んだ悪質商法を取り締まることを目的にしているほか,商品に何らかの欠陥があった場合の民事,行政双方の責任について定めている。

 

中国市場で欠陥と判断された場合に輸出業者に責任があるかもしれません

 輸出にかかわる場合,商品に欠陥があった場合に対する「売主」としての責任の問題について,相手国側との契約を整備しておくことが望ましい。例えば,自社製品を中国企業に輸出販売し,中国の商流に乗せた場合に生じる責任について,商品の欠陥に対して日本側企業としてどのように対応したらよいだろうか。

 

中国権益法の責任範囲は日本法と異なるところがあります

 商品の欠陥に対しては民事上の責任として,返品,交換,修理という3つの責任(いわゆる三包責任)を定めている。欠陥によって損害を被った場合には民事上の賠償責任がある。耐久性ある商品には欠陥の立証責任も負担させている(23条*1)それが,詐欺的取引である場合などには制裁的な賠償責任も定めている(24条*2)。これ以外にも製造物責任が決められており多彩だ。賠償内容も調査費用なども含まれていたりして日本法よりも広い。

 

中国側企業との契約で中国法を排除する条項を作るのがよいです

 商品の輸出にかかわる場合,こうした中国国内で生じる賠償問題にまで責任を負担することとなると想定外の損失を生む可能性がある。中国の行政当局の判断は人によって異なったり,判断基準がめまぐるしく変化するので行政罰に対する問題も考えなければならない。そのため,日本の輸出業者としては責任の範囲を日本法の範囲に限定しておく必要がある。

 

私たちは,顧客のために,たとえばこんな条項を入れたりします

第○条 品質保証および商品管理
  乙は,本商品製造過程における衛生・品質の保持に努める義務を負うものとする。万一日本国の法令に照らし,乙の責めに帰すべき事由によって本商品に衛生・品質上の問題が生じ甲に損害が発生した場合は,乙は,甲に対し,日本国の法令,判例に基づき損害賠償義務を負うものとする。

第○条 质量保证以及商品管理
  乙方对在生产过程中的卫生、质量的保证负责。如果乙方违反日本法律所规定,产生了卫生或质量问题,并且对甲方造成损失的,基于日本国法律,乙方有对甲方进行陪付的义务。

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