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№2355 提携に際しての競業避止義務

 競業関係にある事業を避ける義務を私たちは競業避止義務と呼んでいる。従業員や取締役が現役中ライバル会社に勤務することは本来禁止される。退職後は自由だが場合によっては禁止契約が有効となる。

 業務提携する際にも図面などを提供するが、秘密保持契約と競業避止義務はワンセットとなる契約だと思ってほしい。

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業務提携する際にノウハウ、技術を守る契約が必要

 生産を委託したのに、その業者が、同じ製品を作って売ったりすると当然事業に影響がが出る。生産を委託した場合、設計図書等を手渡すことになるが、自社の重要なノウハウを提供することになる。そのため、事業に対する独占的利益や信用、情報の保護に対処するため業務提携にあたっては競業避止義務を課しておくのが普通だ。特に中国など海外企業の場合は気を付ける必要がある。

 

東京地裁の事例ではこういう条文となっていた
 16条
 乙は本製品及び類似した製品を第三者のために製造又は販売してはならず、これを意図した販売活動、広告宣伝活動及び各種媒体への露出は甲の書面による要請又は許諾があった場合以外は行ってはならない。

 25条
 16条は本件基本契約終了後も有効とする。

 

東京地裁ではこの条文をめぐって問題になった
 企業の経済活動も本来自由だ。永遠に販売活動を禁止するような条文はやりずぎ、法律用語で言えば公序良俗違反だというのだ。しかし、判決は原告が「開発設計費を負担」したことや、「技術、ノウハウを保護する趣旨のものであるから正当な目的がある」としてこの条文は有効した。そして、製造業者に対して、類似の製品の製造、販売を禁じた(H22.9.15判タ1346号175頁)。

 

営業活動の自由も尊重されつつある

 本件は競業禁止条項を有効としているが、直ちに競業行為を禁じたというわけではなく、製造業者側が製造をやめようとしない点も理由にあげている。
 類似の判例として東京地裁H11.9.30判時1724号65頁がある。

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