"Reinventing Organization"は日本語版では「ティール組織」として紹介されている。ティール組織の特徴は職場を15名程度の比較的小さな単位に分けて自主的に運営させる方式だ。経営者などトップリーダーの役目は具体的には何もなく、自主組織であり続けるという組織文化を維持、発展させることが唯一かつ重要な役割となる。
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オランダ ビュートゾルフ
オランダの地域看護組織ビュートゾルフではチームが採用担当者、プランナー、コールセンターのオペレーター、事務管理など全てを行う。チームは集団の叡智を信頼し、役割を担う。このような方式で7000人の看護師が働き、さらに世界企業になりつつある。
フランス FAVI
フランスの自動車部品製造メーカーFAVIでは単位をミニファクトリーと呼び、生産ノルマをはずし、予算、作業量、採用と解雇、労働時間、教育訓練、評価、報酬、品質管理、新たな設備投資さえ単位で決めていく。秩序は他人を見習う習慣と仲間に対する責任、仲間からの圧力によって守られていく。このような方式で500人が働いている。
上司のいない組織
このような完全に近い自主組織においては、基本的に上司は存在しない。時にはコーチ、ファシリテータといった役目はあるが、意思決定権はなく、援助以上の役目はない。チーム相互の関係を管理するスタッフ部門は極端に少なく、意思伝達や部門相互の意思統一を図る会議も極端に少ない。
職場単位相互の交流と調整も自主的に行われる
一つの企業である以上、単位間の相互調整が必要だ。これは原則として単位の代表者が調整役をかってでることになる。また、イントラネットや非公式な会話などを通じて、単位で蓄積された経験、知識を相互交流し、組織全体の経験、知識とし、仕事にさらに磨きをかけていく仕組みになっている。
つまり、単位が一つの細胞のようになって会社全体を構成する
各細胞は役割を持ち、相互の連携によって一つのプロジェクトを完成させていく。社長は実務的にはほとんどやることがなくなる。しかし、こうした自主的な「文化」を維持する重要な責任を負うことになる。
ティール組織は文化によって秩序を維持する組織
私が「ティール組織」を読む限りでは、ティール組織は「文化」というソフトな規律(規則や職制などによる規律をハードな規律とよぶなら)によって組織を維持する場合、いくつかの条件があるような気がする。
① 仕事の質の高さについて何らかの基準や経験値があること
② 「仲間に対する信頼」「仲間に対する責任」に重きが置かれ、自主的な力を引き出す意思決定方式を習熟し、こうした信頼、責任が仕事の質を高めていること
③ 単位相互の情報交換、知識習得システムができあがっていること
④ リーダーが道徳的であること