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№2375 社員の自主性と全体の統一性

 社長は会社が利益を生み出せるようリーダーシップを発揮する。経常利益率10%以上、社会進歩への貢献、高い品質、社員の物心両面の幸せ、国際市場への参入と立派な会社作りに専念しなければならない。

 

 社長は常に会社全体の声を聞き、会社の住む場所を常に高みに持って行くという役割を担っている。一方で、組織全体が高いレベルの「住む場所」を目指すためには、社長の個人的努力ではできない。社員一人一人が、経営者意識をもって自主的に活動することが求められる。

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社長のリーダーシップと社員の自主性とは調和するのだろうか

 ティール組織(英治出版)は組織を15人前後の小さな単位に分け、単位が自主的に運営する。決定権者はおらず、多数決もコンセンサスもなく、やりたいと思った者に決定権がある。投資や採用にかかわる重大なテーマも単位組織で決めることができる。階層性は一定あるが、上部組織は助言以上のことはなく、下部単位に決定権がある。会計は透明性が確保でき、社員の誰もが会社の会計を見ることができる。そのため、ティール組織と言われる組織は管理職が極めて少ない。

 

このような組織に未来はあるだろうか
 組織が社員の幸福を実現するためには利益が必要だ。どの程度の利益をあげるかは事業戦略が「優秀」であることが求められるが、同時に高見を目指す信念のようなものが必要だ。

 

まず、思わなければ何もできない

 金メダルを取りたいと思わなければとることができない。平凡なスポーツクラブで活躍する程度でよいと思えばその程度以上のものにはならない。組織全体が金メダルを目指すという高見を夢見ることは誰がするのだろうか。それは社長が思わなければならない。

 

誰かが指摘する必要がある

自主的組織では組織の利益率は10%を超えなければ安定した成長はあり得ないという考えは誰がするのだろうか。製品の品質は自分たちは優れていると思っていても、世界の中ではまだまだ低いレベルで、「ただ一生懸命やっていると思い込んでいるだけだ!」と誰が指摘するのだろうか。高い水準に向けた新しいアイディアは誰が作るのだろうか。私はこれらの役割は基本的には社長が演じる役割だと思う。・

 

ティール組織の理想と社長のリーダーシップ

 こうした、会社の「住む場所」を思い描くことは社長にしかできない。ティール組織の著者、フレデリック・ラルーもティール組織の実現にはオーナーやCEOの役割はきわめて大きく、社長のスケール以上に会社は発展しないとも言う。

 

 ティール組織の中でリーダーシップがいかに発揮されるかは大きな課題の一つだ。統制しないが助言はする。CEOは会社の文化を維持しする役割を持つし、倫理的な模範でなければならない。感化によって組織を運営するという究極の経営戦略がティールということか。

 

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