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№2346 社員の幸せ、自律的組織

1. フレデリック・ラルー著「ティール組織」(原題Reinventing Organization)では進化型組織は自主経営(self-management)であるという。これは企業体を小さな経営単位に分けて、それぞれの単位が自律的に経営する自主経営体であるということらしい。

 

2. FAVI http://www.favi.com/

 フランスの部品製造業、FAVIは自主組織のよい例だという。この会社は自動車のギアボックスフォークを製造している。500人の従業員は会社は顧客ごとあるいは特定の顧客のカテゴリーごとに15人ぐらいミニファクトリーという単位で分けられている。各単位では営業、生産、納品まで責任を持つ。

 

3. 製造業での自主組織
  FAVIでは職場単位(ミニファクトリー)には営業、製造、配送まで責任を持つ。営業は成果を「今日は10人分の仕事をとってきた」というように人数で表すようにしている。仕事の納期までのスケジュールをミニファクトリーで決める。職場には管理職はなく仲間に対する責任感によって仕事が遂行される。納期はこれまで遅れたことはなく、品質も高くギアボックスフォークの分野では世界シェアの50%を確保している。

 

4. 仕事の喜び
  ミニファクトリーとすることにより、従業員は自分は顧客と直結し、自分たちが何を作っているか、誰に喜んでもらえるかという仕事の喜びを知る。仲間に対する責任感は仕事の質を高め、短納期、ローコストを目指して切磋琢磨する文化も創られている。自分たちの仕事が市場と直結しているため社会的責任や「経営者」意識からくるやりがいも感じることだろう。

 

5. 上意下達組織では社員は単なる道具になる
  従来型の組織であると、会社の経営部門が仕事を受け取り、生産計画にあわせて工場管理者がどの機械がいつごろ必要になるか計画を立て、従業員が機械に配置され、指示された仕事を行う。従業員はただ与えられた仕事をするだけという「単調」な仕事をする。彼は自分が何のために作っているのか、誰に喜んでもらえるかわからないだろう。納期はノルマとなり、達しなければ罰せられる。

 

6. アメーバ経営と似ている
 FAVIの考えは京セラアメーバ組織と似ているところがある。アメーバ経営は同じく会社を小さな職場単位(アメーバ)に分け、それぞれに採算性を追求する。つまり、外注に出せるような仕事であれば、それは単位として小さな経営体できると考える。各自が経営者意識をつくる仕組みは京セラ及び関連会社が極めて高い利益率を確保していることで立証されている。

 

7. 仕事も人生の一部
  アメーバ経営は共通の価値観なくして実現できない。京セラでは京セラフィロソフィと呼ばれる経営哲学を共有している。重要だと思うのはこれは人生哲学でもあると考えるところだ。仕事に生きがいを見いだすスタイルは仕事も人生の一部という哲学だ。この哲学で職場での一体感を実現しようとしている点でアメーバとティールは共通している。知ってか知らずかFAVIも京セラも社員の幸せ実現を経営理念にしている。おそらくFAVIも高い利益率を出しているはずだ。

 

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