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№2356 誰もが生きがいを持つ職場

 高橋まつりさんの自殺のニュースが流されている。私たち経営者は彼女の自殺に多くを学ばなければならない。働き方改革の先鞭をつけた彼女の死だが、たった一人の死のためにたくさんの企業が苦労させられていると心ない発言が出たりする。

 

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全社員が共に幸福を実現する会社への決意

 中小企業の苦しい事情からすればそんな愚痴も出るかもしれない。しかし、社員の生活を支え、社員の幸福を願うというのが企業の使命だと考える立場からはいくら苦しくても社員の心身ともに幸福である状態を追求しなければならない。

 

自主運営組織(self-management)

 Reinventing Organization(日本版「ティール組織」)は職場単位を15人前後の少数に訳各単位が生物のように自主的に活動する組織構造を持っている。各単位は自分の任務を自覚し、集団的討議、集団的叡智によって運営され、会社全体との関係、顧客との関係など自分たちに必要とされていること、自分たちがやらねばならない改善を見いだして活動する。単位はまるでアメーバのように独立した組織でありながら、一方で単位の集合体は会社という一つの生き物となっている。

 

ティール型組織では、単位が経営の全てを決める権限が与えられている

    労働時間も採用も、時には設備投資すらも単位が決めることができる。この場合、個人が決めるのではなく、必要と感じた個人がメンバーに意見を求め、集団的な叡智が発揮される。単位では情報不足や経験不足、能力不足があれば、単位は他の単位に助けを求めることができる。

 

「人として正しいか」という判断基準

 こうした単位の自律性が実現するには構成員相互が強い信頼関係を持つ必要がある。組織の誰もがよい人で、「人として正しいか」を基準に勇気を持ってことにあたっている。責任を人に押しつけず、迷えば自分が行うという勇気が必要だ。責任が偏っていれば、誰かがそれを指摘し、責任、負担が平等になる必要がある。この組織おいては誰もがいい人だ、私の話を聞いてくれるという文化がなければこのような関係は生まれない。

 

誰もが主人公の組織

 自立型組織では「一人一人が個性的な存在で、だれもがほかの人に貢献できる才能を持ち、全員が人として価値があり、評価され、必要とされている」という考えが浸透していなければならない。石垣には大きい石もあれば小さい石もあるが、みんな必要なものだという考えが必要だ。

 

哀悼 高橋まつりさん

 高橋まつりさんは、「好きな仕事をする喜び、人との関わりや達成感、喜怒哀楽を通じて、人としての大切な心構えを成長させることが、仕事の本質だと思うのです」と言い残しているそうだ。自主的組織では誰もが大切にされ、仕事は自分の人生の一部となる。人としての成長が組織の成長でもあるような組織であれば、高橋さんは自殺することはなかったろう。

 

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