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№2362 社員の自主性と働く喜び

京セラアメーバ経営では社員の主体性が重視される。稲盛氏は次のように述べる。

アメーバ経営は,京セラフィロソフィにあるように,経営者と従業員,そして従業員同士の信頼関係をベースにした全員参加型の経営であり,いわば人の心を大切にする経営システムです。」

「意味もわからず,一日中ひたすらねじを締め続けさせるようなことはありません。アメーバ経営では,工場で働く一人ひとりが『自分たちも経営者だ』という意識を持つことで,働く喜びを感じながら仕事ができるのです。」 

 

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組織が独自に動く小さな単位に分かれている
 「ティール企業」(英治出版)では自主経営(self management)が実現されている企業を進化型企業として様々分析している。その内容とアメーバ経営と重なるところは多い。ティール型企業(reinventing organization)では、企業体を小さな単位に分け、単位ごとに自主経営できるようにしている。この点、小さな単位が一つの生き物、アメーバのようにするというアメーバ経営と共通している。

 

ティールでは社員に経営者意識が求められる
 ティールでは各単位は全ての決定権を持っている。たとえば、事業展開、設備投資、採用、企業体が持つ全ての機能を単位は持っている。各社員が主体的に関与するためにはこうした経営全般について意識を持つ必要がある。その意識とは経営者意識に他ならない。

 

ティールでは単位のボスはいない
 ここまでは、ティール組織とアメーバ経営とはほとんど同じように見える。しかし、ティールでは「ボス」がいない。集団的討議によって決められるが、その場合コンセンサスを利用しない。やりたいとする者の意見を尊重する方式になっている。

 

アメーバにはリーダーがいる
 一方でアメーバでは「ボス」が存在する。アメーバではリーダーの役割というのが非常に重視され、経営十二箇条であるとか、京セラフィロソフィとかリーダーのあり方が徹底的に問われる。リーダーは各社員を評価するが、評価の仕方が京セラフィロソフィに照らして正しいかはリーダーズ会議で徹底的に、時には2から3日かけて議論される。

 

ティールでは助言のシステムが重視される
 ティールではリーダーはいないが、助言者は存在する。社員一人の発案、単位が何か発案するときには関係する者の助言を受けなければならない。助言なので助言者には決定権はない。この当たりから、アメーバとティールとの違いが出てくる。アメーバでは上意下達方式とアメーバという主体的な動きの両方が同時に存在し、調和させることこそが真の知性であるとされている。

 

どちらの組織も経営トップの役割はとても大切だ
 ティールでのCEOは組織全体が正常に機能しているか発展しているかを気配りし常に「組織の声」を聞くことが重要で他の組織スタイルよりリーダーの役割が格段に大きい。

 つまり、ティールの特徴は一人一人が「善人」で信頼できる仲間であること、仲間相互に対する責任感が重視され、そうした文化の維持がCEOの任務だ。

 アメーバでは「人として正しいか」が社内の基準となっている。どちらも、主体性を涵養する文化によって社内をまとめ上げるという組織戦略になっている。

 

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