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№2337 分散した知性の可能性

ティール組織」(英治出版

 「ティール組織」(英治出版)の著者は、現代社会は「インターネットの浸透は新しい世界観を生み出した。トップダウンの階層ではなく、分散した知性の可能性に目を向けられるようになった。」と表現する。

 

「腸の脳」と大脳というCEO

 著者はマイケル・ガーションによって提唱された「腸の脳」を引き合いに出している。中枢神経とは別の消化器系独自の神経系があって、消化器系は自律した運動をなしている。ガーション教授は「脳はマイクロマネージメントを好まないCEO(最高経営責任者)のようなものだ」と語っているそうだ。

 

自律した組織は高度なものだ

 つまり、身体は脳によるトップダウンによる組織というよりは、自律的に動く神経系の総合といったほうがよい。「腸の脳」というのはその象徴的な意味になる。こような神経系が分散し、自律性を様々な自律性を持っているという観点ができたのは、インターネット社会であちこち情報やイノベーションが起こっている状況があるため、「分散した知性への可能性」(the possibility of distributed intelligence)に関心が向いている証拠だというのだ。

 

利益を目的した組織は行き詰っている

 複数の人々の取り組みが組織だ。「人々が協働する媒体としての組織」が機能したとき、一人では生み出せない成果が生まれた。

  この組織には歴史的な発達段階があり、現代社会は成果を生み出すことを基準に組み立てられたトップダウン方式の組織が主流をなしているという。ここでは基本的に「大脳」がすべての指令を出す仕組みになっている。

 このような組織では人々は社長ですら一つのパーツになっていて、組織のたてまに従った仕事をする。仕事とプライベートは別になり、人々は命令に従っているという仮面をかぶった世界で仕事をする。

 

進化した組織の在り方

 こうしたトップダウン方式の行き詰まりに対して新しい発展段階が「分散した知性」に対する信頼だという。つまり、それぞれは単なるパーツではない。自律して考え、自分のやりがいを見出し、仕事上の幸福感と人生の幸福感を重ね合わせることができる状態が新しい組織の在り方だという。

 

自律型組織は高度な手法で文化で一体感を作る組織だ

 これは非常に高度な組織で、命令ではなく文化によって個人が関連図けられた組織ということになる。人体が細胞、臓器、さまざまな単位が自律する一方で全体として統一していくために複雑な情報系を持っているように、自律型組織はある種の高度差を備える必要がある。この高度さの要素を説明したのが「ティール組織」というわけだ。

 

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