商品やサービスを提供する場合,「いかなる場合も一切責任を負わない」という条項は消費者契約法に違反して無効となる。インターネットで販売するときなど免責条項は注意する必要がある。
消費者契約法8条
消費者契約法8条は事業者の責任を全部免責するような条項は無効となると定めている。例えば,「いかなる場合も一切責任を負わない」などと記載するような場合だ(東京地裁H26.1.23判時2221号71頁)。しかし,消費者契約法8条は「損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項」と定めているため,「責任の全部」でなければよいのではないかという考えも生じる。
賠償範囲を限定する条項は有効となります
損害の範囲や額,帰責事由,因果関係など限定する方法は存在する。例えば,「通常の使用と異なる方法で使用した場合に生じた損害は免責される」とか,「売買代金の範囲とする」とか,「故意,重過失ある場合のみ賠償する」とか,「直接損害に限る」とかいった場合だ。ともかく,消費者にとってわかりやすい条文であることを求めている。
契約法3条は
「 消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮すること。」
と定め,あいまいであったり,消費者に一方的に不利になるような条項は原則許されない。
モバゲー会員規約無効事件
最近「モバゲー会員規約」が無効とされる判決が出た(東京高裁R2.11.5 2020WLJPCA11059005)。これは,他の会員に迷惑をかけるなど,サービス提供者が会員として不適切と判断した場合は,利用停止措置または会員資格取消措置をとるという条項があり,さらに,利用停止措置によって当該会員に損害が発生しても,提供者は一切責任を負わない,という条項が存在した。高裁はこれでは事業者が一方的に責任の範囲を限定できてしまい,あいまいであるから消費者契約法8条により無効と判断した。