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№2398 COVID-19は不可抗力?

 COVID-19のために経済活動はすっかり麻痺状態になってしまった。COVID-19が陽性者が出て工場や建設現場の操業が一時的に止まってしまうことも珍しいことではない。事業者は日々の管理,厳格な班分け,在宅ワークなど感染リスクを最小限にしようと懸命だ。

 部品がこない,操業停止のために納期が守れない,代替品を探さなければならない,場合によっては契約を解除しておかなければならないなどということは珍しいことではなくなってしまった。みんなコロナのせい?これって不可抗力?今月のビジネス法務(2020年9月号)では「新型コロナ」法務の最新論点が特集されていた。

 
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COVID-19は災害?

 COVID-19は災害に近い。天変地異によって契約が守られなければ,それは不可抗力というものだろう。コロナについても,社会全体があげて感染防止のために行動している状況下ではコロナのために契約が履行できなかったとしても,それは不可抗力と言えるかもしれない。

 

コロナ対応は自己責任?

 しかし,ウィズ・コロナの時代にあっては、感染そのものが全く予見や回避ができないものかというそうでもない。感染対策を全くとっていなければ,現時点では落ち度があったということになるかもしれない。感染リスクがあっても政府は企業に対して要請はしても禁止はしない。法律論を純粋に考えれば何も禁止されていない。コロナ対応は自己責任という考えもあり得る。

 

コロナ対応していなければ責任を負うことになる

 結局,不可抗力かどうかという時の大きな判断基準としては社会一般からみて,リスク管理がとしてどの程度COVID-19に対応できていたかによって判断されることになろう。感染予防のために社員管理をどれほど徹底していたか,工場内の感染予防策の内容,班分け,感染者,濃厚接触者が発生した場合の対応のスピード,社内外の情報共有などテーマは様々ある。

 

重要なのはリスクの洗い出し

「非常事態において事業上生じうるリスクの洗い出し」ができているか,「不測の事態が発生した場合にも事業を継続する,または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるために方針,体制,手順等をあらかじめ計画し(このような計画を (BCP)(Business Continuity Plan)という),策定したBCPの維持や見直しといったマネジメント活動を行うこと(このようなマネジメント活動をBCM(Business Continuity Management)という)を通じて,リスクを洗い出し,対応方針を決めておく必要がある」が,このようなマネジメントができていたかによって判断されることにあるのではないだろうか。

 

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