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№743 震災不況、どう対応するか

№743 震災不況、どう対応するか
 震災の打撃は非常に大きい。愛知県内の産業はあらゆる分野でたいへんになっている。そのレベルはリーマンショックよりもひどい。

 震災不況、中小企業はどのように対応したらいいだろうか。

【極短期対応】
情報にどん欲になる。

  震災後、情勢は刻々と変化している。建材は一時期全く出回らなくなった。今は少しずつ出ている。仮設住宅がすぐにはできない状況が続けばもっと出回るかも知れない。輸入品が出回るかも知れない。自動車関連でも、ある日突然注文が来るかも知れない。政府や自治体も次から次へと新政策を出してくる。
  つまり、この時期、情勢は毎日変化する。この毎日の情報を獲得することが極短期の対応と言える。そのためには、同業者の交流、異業種の交流が有益だろう。

【短期対応】
経営の安定を図る。

 これはリーマンショックの時の経験を生かすことになる。
① 資金繰り
  当面の資金繰りのために、セーフティネットなど融資関係の商品の検討、リスケなど積極的に検討する。銀行に相談しても良いし、保証協会に相談してもよい。保証協会はリーマンショック以降大きく方針変更しており、事業を生かす方向で丁寧に相談に乗ってくれる。協会によっては相談窓口を設けている。

② 雇用の確保と助成金の活用
  労働時間の短縮や帰休制などのワークシェアの方策を考えなければならないかも知れない。雇用調整助成金の活用も検討事項だ。その場合、従業員に対する丁寧な説明と当時に、危機を会社一丸となって乗り越える気概を作り上げていく必要がある。

③ 積極的な事業展開
  仕事がないため、この時期でしかできない作業に入る。既存顧客の見直し、あなたは放置してた顧客はないだろうか。新たな事業展開の工夫。会社組織の整理。社員教育。営業活動に技術者を同行させ、積極的な売り込みを図る。顧客周りを行って自社の強み、弱みを再確認する。「時間ができた」と考えて会社マネジメント全般を見直し、積極的に打って出るチャンスを作り上げる。

【中長期展望】
経営の新しい展開を見通す。

  リーマンショック、震災不況によって世界の経済構造の変化は加速されるだろう。国内では内需のあり方が変わるだろうし、国際的な分業も変化するだろう。自動車は海外進出を加速させ、リスク分散を図るかも知れない。
① 債務政策を作り上げる。
  もっとも重要なのは債務対策だ。短期借入がふくらみ続けている企業も多いかも知れない。不況下の借入が膨らんだ企業は多い。それを放置すればいずれは破綻する。例えば、10年から15年で債務総額を3分の1にするという計画を立て、1年、3年、5年という具合にある程度の債務減少の見込みを作り上げていく。

② 新たな事業展開を図る。
  自社の強み、弱みを改めて分析して、新しい事業展開を図っていく。会社は自社のアイデンティティと別に事業展開することはできない。しかし、自社の小さな変化の積み重ねが大きな路線転換に結びつくことはある。

③ 実効性ある事業計画の作成
  結局のところ、これは事業計画を作り上げることになる。事業計画をおろそかにしていないだろうか。計画があっても実効性がなくお題目に終わっていないだろうか。実効性ある計画があっても、実行する決意に欠け怠けていないだろうか。