№2313 有害物質ある不動産の売買
商品の欠陥を「瑕疵」という言い方をします
工場用地などは売買契約後に有害物質や廃棄物の存在が発覚することがあるため契約上注意を要する。こうした有害物質などについては法律上に「瑕疵(かし)」とか「欠陥」とかいう言葉で表現される。教科書的には民法がまず問題になるが,実務的には商法に要注意だ。
商法526条
商人間の売買では商品を購入後直ちに検査して欠陥が発見された場合には直ちに売主に知らせなければならない。知らせないと欠陥責任を追求できない。
すぐに発見できない欠陥であっても,6ヶ月経ると,欠陥責任追及できない。つまり,半年過ぎてしまうとどうにもならない。私たちはこれを「除斥期間」という言葉でよんでいる。
その点では瑕疵担保責任(品質保証)に関する契約条項にはとても気を遣う。
土壌汚染の免責条項の効果
「土壌汚染等の調査については買主の責任において実施するものとし,売主は本件土地及び地上建物に隠れた瑕疵(土壌汚染,地中障害等)について,一切の責任を負わないものとする」
この条項は法律上有効だ。
免責条項の限界
しかし,仮に売主が売買契約当時に土壌汚染を知っていた場合は別だ。不動産価格が汚染のないことを前提に決められているのであれば,信義から言っても売主としてはそれを告げる義務がある。
東京地裁の事例は,会社の実質的なオーナーが土地に障害物があることを知っていながら売買したもので,会社が知っているのと同じであるから免責条項の適用を認めなかった(H29.10.27,判時2400号83頁)
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