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№2281 ビジネス法務の勘所

№2281 ビジネス法務の勘所

 企業の法務部向け雑誌「ビジネス法務」2019年4月号は契約書審査を特集している。企業内法務部の関心事がわかり,企業法務を扱う弁護士にとっても参考になる。

企業法務はビジネスの「賞味期限」との勝負
 企業法務にとって重要な要素は,法務が会社の利益追求にいかに貢献できるかということになる。ビジネスにおいて契約は新しい関係の創造と言える。この関係は変動が激しく,いつも「賞味期限」にさらされてる。つまり,ビジネスチャンスがあるうちに法務部=顧問弁護士は対応しなければならない。現に今,動いているビジネスと呼吸が合わなければならない。

ビジネスのリスクをゼロにする訳ではない
 雑誌ではビジネス法務にとって重要な考え方が紹介されている。
「契約において必要なことは,取引リスクをゼロにすることではなく,取引から得られる利益と比較して取引リスクを許容できる範囲内に抑えることである」

リスクは利益の対価である
 リスクを考えればいくらでもある。若い弁護士たちには「最大リスク回避を追求すると何もしないことになる。」と教えている。リスクは利益の対価だ。過剰なリスク回避は弁護士としては無難かもしれないが,お客には利益にならない。むしろリスクの丁寧な説明こそが重要となる。

現場の声を聞く
 そこで,重要なのはお客はこの取引でどんな利益を得ようとしているのかという点を十分ヒヤリングすることになる。その上で,お客がどんなことを心配しているか,理解していくのがだ一歩だろう。雑誌上「この契約において想定されるリスクは何か」と担当部門にヒヤリングしながら法律業務を進めていくことを重要性を説いている。これは弁護士の頭の中だけでリスクを考えるのではなく,現場の声を聞くことが重要なのだ。

この契約において想定される利益は何か
 また,「この契約において想定される利益は何か」という問いも同様に大切だ。顧客は新規契約によって利益を確保したいと願っているだろう。契約書は顧客の利益を確保するものなっているだろうか。弁護士の長年の経験から,顧客が想定している以上の利益確保手段の提案もあり得る。ここの当たりは戦略的法学と言われる部分で,企業法務を取り扱う弁護士の創造的能力が発揮されることになる。

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