名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№2379 サプライチェーンマネジメントの法的課題

 倉庫事業を展開するお客様と顧問契約したので、最近サプライチェーンマネジメントの勉強を進めている。IOTやAIの発達により、サプライチェーンが急速にスマート化している。DASとか、DPSとか分からない言葉が飛び交っている。

 

 ①通信システム、②輸送手段、物流設備(マテハン機器)、③IAなどの電脳が急速に発達し、これに乗れれば勝ち組、乗り遅れれば負け組というとんでもない戦国時代に入っている。倉庫事業に対する法的サービスを展開する上でも今の急激な変化を理解する必要がある。

 

名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら

 → http://www.green-justice.com/business/index.htm

 

どうしてもスマート化できないピッキング

 上記のような①から③の分野で急激な発達を遂げているが、現時点では出荷のために商品を集める作業、ピッキングはどうしても労働集約型にならざる得ないようだ。なんやかんや言っても人間の総合的な判断能力と細かい物までとりわけ、つかみ、移動させる能力はなかなか機械は追いつけないようだ。

 

倉庫業はどこで強みを発揮するか

 倉庫などの物流施設はwarehouseと呼ばれ、全体のマネジメントはWMS/warehouse management systemと呼ばれている。入庫→保管→ピッキング→検品→梱包→出庫→配送と続く一連の庫内作業をいかに効率化するかが倉庫業の死命を制することになる。

 

顧客に対するプラスアルファの強み

 しかし、近時はこうした庫内のマネジメントだけでなく、物流拠点の戦略的な集約、サプライチェーン全体での情報化、情報共有化の促進といった、物流全体の相互の関係の最適化を目指している。倉庫業も倉庫だけみてればよいというのではなく、サプライチェーンのプロセスの中で自社の業務が適合しているかという視点が不可欠となっている。顧客の需要予測を図りつつ、ウェアハウスマネジメントを進めていけば、顧客にとってはなくてはならない存在になれるだろう。

 

ピッキングという手作業の存在

 こうしためざましい変化を遂げているサプライチェーンマネジメントの世界だが、ピッキングや検品が手作業のまま取り残されているのは不思議な感じがある。ミスを防止する、誰でも判断できるようにする、移動のために歩く歩数を減らす、機械に任せられるところは可能な限り機械に任せる、現場では血のにじむような努力が続けられている。

 

ウェアハウスマネジメントでの法的課題

 こうしたサプライチェーンマネジメントに関わる法務というと、入庫、出庫関係業者との連携、ご配送や庫内事故に対する対応、新規システム導入への対応、業務秘密の管理、ライバルの参入阻止のために不正競争防止法や競業避止義務が問題になろう。

 

労働問題は無視できない

 労働集約型業務という点では同一労働同一賃金といった派遣労働や非正規雇用の問題、職業紹介への対応、外国人労働者の採用といった様々な問題が考えられる。顧問契約上、顧問先とはこうした問題を話し合い、当面する問題に対する法的課題及び解決戦略を提案してお付き合いさせていただくことになる。

f:id:lawyer-kago:20191110132509p:plain