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№2459 取引社会での「紛争」の考え方

紛争はこんなところから始まります。

 取引社会では売主が提供するものと買主が提供する金銭が等しいものと考えて契約が成立する。これは売買に限ったものではなく、例えば役務とよばれるサービスの提供でも同じ事だ。請負契約でも引き受けた仕事と支払う代金とが釣り合っていると思ったからこそ成約にいたる。

 

対価のバランスが崩れると紛争になる

 私たちの世界ではこうした対価のかる関係を有償契約と呼んでいる。そして、紛争はこの対価のバランスが崩れたところから始まる。

 例えば、せっかく買ったものに傷がついていたり、うまく作動しなかったりすると、その分損したことになり、支払った金員に見合うようして修繕あるいは交換などを要求することになる。

 

法律や契約は崩れたバランスを取り戻すためにある

 契約上のトラブルの大部分はこうした対価のバランスが崩れたところから始まり、法律はどうやって対価のバランスを取り戻すかという考え方で整理されている。難しい契約も大抵はこうした対価のバランスを失うリスクの回避、対価のバランスを取り戻す手法など考えながら作られていく。

 もはや対価のバランスを取り戻すことはできないとなると、契約解消、解除の問題となる。そして、残った損害は賠償問題として処理されることになる。

 

フェラーリの再調達で高額化した部分に賠償を認めた事例

 東京地裁H26.9.122014WLJPCA09128014では、芸能プロダクションがフェラーリを購入する売買契約を締結したところ、売主がフェラーリを調達できなかった。そこで、正規販売代理店から別途購入したところ、415万円ほど高い買い物となった。裁判所はこの差額を賠償額として認めている。しかし、解除によって契約解消される場合、契約がなかったことになるので、このような再調達価格との差額をもって賠償金額としてよいかは問題があるように思う。