顧問先に対する私たちのサービスとして合弁契約書の作成というものがあります。例えば,中国やベトナム企業との間で何らかの事業提携を行い合弁契約を作成する場合などがそうです。最近は中国企業が日本に進出してくる例も増えているように思われます。弁護士が関与して合弁契約を作成するプロセスはどのようなものでしょうか。
契約書の役割って何?
契約書には2つの役割があります。共同事業成功に向けた役割分担です。もう一つは万一トラブルになった場合のリスク回避です。前者はあまり意識されていませんがかなり有益です。契約作成過程で様々な事態を予測するので,この共同事業がどこで利益をあげるのか,一定の問題に対してお互いどうやって共同作業するかを話し合う機械になります。
海外企業との合弁契約
国内であれ,国外であれ合弁契約の基本的構造は変わりません。アメリカの契約実務はかなり発達しているので私の場合は英文契約を参考にしながら,中国やベトナム企業との合弁契約書を作成していきます。
海外企業との合弁契約は細かくなります
ただ,海外の場合には注意するべき点が2つあります。一つは共通の価値があるとは限らないので,文が細かくなります。例えば日本では賃貸借と言えば足りますが,貸す義務の存在,家賃を支払う義務の存在など義務の明確化に注意しなければなりません。
相手国の法律的規制も考慮することになります
もう一つの注意点は相手国の法律です。中国やベトナムは社会主義国なので日本とはかなり勝手が違います。例えば,ベトナム国内で企業設立する場合,目的が制限されたり,銀行口座の制限があります。ベトナム企業が日本国内に合弁企業を作るような場合も政府の許可や財務の報告などが必要となります。
こんな具合に契約を作っていきます。
① 合弁事業の基本的なスケッチを作ります。
各ステークホルダーを起点に相互関係を図式化します。
② 事業の目的を明確にし,関係者の「利益」は何かを特定します。
③ 事業のプロセスをチャート化し,リスクをアセスメントします。
④ タームシートと言って契約上必要事項を協議します。
⑤ ドラフトを作り細かい条文をつめていきます。
特に撤退戦略を忘れないようにします。
⑥ 契約締結