経済成長著しい中国ではあるが,法律はバラバラしていたが,2021年1月1日,「中国民法典」が施行された。中国は1950年代から民法典の整備を進めてきたが何度も頓挫している。何しろ,民法というのは個人に所有権があることを前提に私人の自由な取引を保障しようというものだ。こうした私的財産権の存在は当時の共産主義から言うと,資本主義への回帰ということだったらしい。その意味では,今回の民法典施行は革命に匹敵する画期的なできごとではないだろうか。
グローバリゼーションと自由
改革開放政策が進み,今や世界第二の経済大国となった中国では所有権は資本主義の諸悪の根源というような古くさい考えでは到底立ち行かないと認識したようだ。社会主義下であろうと何だろうと,なにがしかの競争なくして経済は発展しない。世界経済にとっぷり浸かってしまっている中国は自由な経済というもの無視できなくなってしまった。過去の共産党が危惧したように,民法は社会を資本主義に回帰させてしまうのかもしれない。
中国民法典から見える大きな変化
中国民法典を読んでみると確かに大きな変化を感じる。114条では人は特定の「物」について所有権などの排他的権利を有することができると定め,240条以下には「所有権」について定めている。
「所有权人对自己的不动产或者动产,依法享有占有、使用、收益和处分的权利。」
所有社は自己の不動産または動産に対して,法により占有,使用,収益ならびに処分する権利を有する。
このようにはっきり個人の所有権を認める条文があると,中国社会主義イデオロギーを知っている人がいたら,もう1回革命があったんじゃないかと思うくらい,様変わりしたと思うに違いない。
中国民法典は「個人の尊厳」についても定めている
民法典にはこんな条文もある。この条文が中国の司法において機能することを願うばかりだ。
第109条 自然人的人身自由、人格尊严受法律保护。
自然人の人身の自由,人格の尊厳は法律の保護を受ける