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№2442 提携に先立つ秘密保持契約  

一方が販路に強み,一方が技術・アイディアに強みという業務提携はかなり多い。この場合,販路を持つ側は顧客情報などを取られては大変と思うだろうし,技術を持つ側は技術情報を取られては大変と思うだろう。業務提携ではお互いフェアに行くという信頼関係なしでは成り立たない。秘密保持契約はフェアな業務提携の象徴みたいなところがある。

 

多くの秘密保持契約はだいだい決まっている。

 

第1条 本契約で秘密情報とは,甲又は乙の事業に関し,甲及び乙がそれぞれの相手方から開示された情報であって,文書,図画,電磁的記録,口頭その他の方法を問わない。但し,次の各号の事項に該当するものは除く

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このように秘密保持契約を定めても違反があっても損害がなかなか算定できないため,どこまで法的拘束力があるかはよくわからない。

しかし,業務提携の交渉段階,初期段階では秘密保持契約について協議しておくことは意味がある。秘密保持契約を締結することにより,お互いの信頼関係を確かめることになるからだ。

 

また,秘密保持契約に管理の方法を定めることで,自社あるいは相手方における情報管理の甘さを点検することができる。ビジネス法務10月号にはこんな条項が紹介されている。これはちょっとめんどくさいのでかえってビジネスの妨げになるかもしれない。

 

受領者は開示者が指定する情報については開示者の指示に応じて,複製の制限・管理,法官方法,乙が作成するアクセス権限の種類及びアクセス可能な人員の名簿の管理,秘密情報への接触可能人員等の規制手段を講じなければならない。