№2207 契約で利益を縛る
経済法は自由競争が原則です
生産から販売までの流れを私たちは商流とよんでいる。
忘れないでほしい。私たちの社会は競争社会なのだ。取引は自由だし,社長は経済人として賢く振る舞わなければならない,これは一般消費者の契約とは根本的に異なる。経済法ではだまされた方が悪いというのが原則だ。
例えば,顧客を奪われてしまった
① 開発商品を特定の企業に販売を委ねたところ同一製品を別の業者に発注した。
② 代理店として独占権を与えると言われたので,販路を開拓したら,別の業者に発注され,販路を奪われた。
③ 中国で生産することにより低コストを実現したが,顧客が直接中国企業と取引を始めた。
自由競争は契約で利益を縛る
だから契約で利益部分を縛ることはとても大切だ。生産から販売までの商流で,我が社がどこで利益を得ているかをしっかり考える必要がある。
【発注義務】【供給義務】
いきなり契約を打ち切るという問題は法律的には「発注義務」,「供給義務」という契約条項で整理される。
【秘密保持義務】【競業避止義務】【直接取引の禁止】
他社での生産を禁止するというのは,商品の模倣を防止する点では「秘密保持義務」を課すことになる。また他社製品を売ることにもなるので,「競業避止義務」として問題にする。中国の生産元に対しては顧客との「直接取引の禁止」を定めておく。
【資料提出義務】【立入調査権】
内部事情を知ることは難しい。違反に備えて調査する権能を持っておくことも考える。
【賠償責任】
違反がなければ得られたであろうという利益,これは「逸失利益」と呼ばれるが,立証は非常に難しい。あらかじめ,売り上げの何割とか,一定の金額とか契約で定めておく必要がある。
【調査費用】【弁護士費用】
これがばかにならない。弁護士費用は成功報酬も加えれば請求額の2割近くかかる。これらは法律上相手から取ることはできない。そのため,必ず契約条項に入れておく必要がある。
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