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№1979 優先的取引義務

№1979 優先的取引義務

優先的取引条項とは
 契約条項の中には優先的に取引すると求められることがある。たとえば共同事業する場合に相手方に優先的に販売するというような契約条項を入れることがある。

 平成19年 6月20日東京地裁判決(2007WLJPCA06208003)ではビルの共同所有者の一方が共有関係から離脱する際に、優先買取権が問題となった。そこではこんな契約条項が入っていた。

   「(本件土地及び○○ビル持分の優先買取権)甲または乙の一方が,将来本件土地または藤ビルの持分権を他に譲渡する必要が生じた場合は,事前に相手方に通知を行うものとし,その相手方が希望した場合は,他に優先して相手方の権利を買い取ることができるものとする。」

 この事件ではパートナーが優先買取権を行使した時点で売買契約の成立を認めている。

 優先的取引権の思考順序
 こうした優先的買取権については価格などの条件をどうするのだろうか。一般的には次のような順序で考慮されることになる。

 ① 優先的買取権を行使してパートナーが値段を提示する。
 ② 値段が合わないというので、一旦、申出を拒絶して、他の買主を探す。
 ③ 他の買主が見つかった場合に、その金額をパートナーに示す。
 ④ パートナーが他社の金額まで値段を上げるということであれば、パートナーにその値段で売却する。

 つまり、優先的な取引と言っても、売主はまずはいったんこれを拒む権利を持ち、後に売り渡し義務が発生するという構造になる。こうした条項は英語契約書では "first refusal right"として表現されている。

優先買取権での注意事項
 優先的買取権権については相手に対する情報開示が必要であるため、第三者との関係では守秘義務の免除を得ておく必要がある。また、優先的買取権の行使期限を定めておかないといつまでも待たされることになる。たとえば、売主は買取請求を行い、相手方は2ヶ月以内に回答が無ければ優先権を喪失するというような条項が必要となる。

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