長期にわたる契約を継続的取引関係といいます
製造業の世界ではお客様との「絆」がとても大切だ。自社のことをサービス業だと言い切る業者もいるくらいだ。この「絆」を前提に設備投資を行い,生産量に合わせて人も確保する。こうした継続的な取引関係を前提に相互の生産関係もなりたっている。
法律はこのような信頼関係の保護をはかっている。
40年来の契約関係を打ち切った事例
40年来,主力商品を提供してもらっていたが突然これを打ち切られた事例がある。
大阪地裁の事例(H29.7.20,2017WLJPCA07209009)はA社は洗車機を製造し40年来B社に供給していた。取引は昭和52年ころから始まり,B社はA社のために販路を開拓してきたのであるが,平成28年になってA社は取引を停止してしまった。B社は突然の中止に損害を被ったとして損害賠償請求した。
判決は即時に中止した行為を違法と判断をした
本件では業務提携契約が解除されている。しかし,解除ついては「代理店として販売するという継続的商品供給契約関係が長らく維持されてきており」,「製品を供給すべき義務を負っていた」。とし,突然の販売中止は違法行為となるとした。
基本契約書は第15条には「甲・乙双方より3か月前に解約予告をしたとき」解除できるとの条文があった。
しかし,判例は
① B社が本件洗車機の販売に依存していること
② 長らく取引関係が続いていること
③ A社にも大きな貢献をしてきたこと
④ B社に損害を与えた事情はないこと
など諸事情をあげ,この条文から直ちに解除することはできないとした。
打ち切られた側にも落ち度がありました
しかし,一方,A社の製品であるにもかかわらずB社自社のブランドとして勝手に商標登録をしてしまった。A社が契約を解除したのはこうした勝手な行為に会長が怒ったためだ。判決文はB社にはA社のブランドを尊重する「信義則上の義務を負っていた」とした。
そこで,判決は即時解除は違法で無効としたが,通常の解除,基本契約書には3ヶ月前に予告すれば継続的取引契約を解除できるとしている点を捉えて,3ヶ月間有効であるとした。
誠実に商売をしていれば裁判所は守ってくれました
B社は40年の販売続けてきたので,その商流を断ち切られることになる。さぞかし困ったことだろう。しかし,まっとうな商売をしていれば,法律は守ってくれるはずだった。
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