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№1891 マタニティハラスメント

№1891 マタニティハラスメント

 最近、妊娠を理由とした降格処分ことについて責任を認めた最高裁判例が出されている(H26.10.23.民集68.8.1270)。
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      その1 → http://blogs.yahoo.co.jp/lawyerkago/39414835.html
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 妊娠する、あるいはしたことを理由に不利益処分をしたり、職場内で冷遇されたりするような場合をマタニティハラスメントと呼ばれている。

 法律は次のようになっている。

 妊娠した場合に,労働者が軽易な作業を求めた場合には応じなければならない(労基法65条3項)。
 一方,妊娠や出産を理由にした労働者に対する,労働条件の不利益変更は禁止されている(雇用均等法9条3項)。  

 最近この種の典型的な判決が出されている。
  福岡地裁小倉支部の事例では介護サービス業の介護職員が妊娠した際に軽易な作業への転換を求めた。ところが、これに対して上司は特に配慮しないどころか、種々の嫌がらせをした。
 判決は使用者側の立場にある者として妊娠労働者の人格を傷つけるものとして賠償責任を認めた(福岡高裁小倉支部H28.4.19判時2311号131頁)。

 もっとも判決が認めた慰謝料は35万円程度である。

 判決文によるとこんな言葉が出ている。経営者としての品がなく情けないが、職員の妊娠に伴うめんどうくささからこんな気持ちになっていないだろうか。
 経営者としては十分注意する必要がある。

「何よりも何ができません,何ができますちゅうのも不満なんやけど,まず第一に仕事として一生懸命していない人は働かなくてもいいと思ってるんですよね」
 
 「妊娠がどうのとか,本当に関係なく,最近の自分の行動,言動,いつも,ずっとずっと注意されよったことを,もう一回思い出してもらって,取り組んでもらって,それが,改善が見えない限りは,本当にもう,全スタッフ一緒ですよね。更新はありませんよちゅうのは,そういうことですよね。」

「本当にこんな状態で,制服も入らんような状態で,どうやって働く?」

「きついとか,そんなのもあるかもしれんけど,体調が悪いときは体調が悪いときで言ってくれて結構やし。やけど,もう,べつに私,妊婦として扱うつもりないんですよ。こういうところはもちろんね,そうやけど,人として,仕事しよう人としてちゃんとしてない人に仕事はないですから」

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