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№1992 定年後の再雇用を拒否できるか

№1992 定年後の再雇用を拒否できるか

60才ではまだまだ働ける
 継続雇用制度ができて,60才定年に対する各社各様の工夫が行われている。
 いまや,60才といういう働いて当たり前,還暦などとんでもないという感じになっている。かつての55才定年制はいったいなんだったんだろうと感じるぐらい,労働可能な人たちの年齢はあがっている。

継続雇用制度の浸透
 継続雇用制度は「高齢者等の雇用の安定等に関する法律」という長い名前の法律に基づくもので,65才まで働けるよう企業が配慮するよう求めている。

 一般的には次のいずれかの対応となる。
   ① 定年の延長,廃止(勤務の延長)
   ② 嘱託などの再雇用
 
再雇用は拒否できない
 再雇用制度をとった場合,一旦辞めているのだから,再雇用が拒否できるかというとそはならない。最高裁は継続雇用を期待できる事情があれば,継続雇用基準を満たした労働者を再雇用しなければならないとしている(津田電機計器事件、最判H.24.11.29)。
 
65才以上の再雇用拒否は可能
 再雇用の拒否については,65才以下と以上とで取り扱いは当然異なる。法律が65才雇用を求めている以上,事業者側は再雇用が原則だろう。しかし,65才以上の場合は,就労規則や継続雇用基準に一定の事業者の裁量を認めることは許される。

 たとえば
「理事会は期間を定めて年度毎の契約により勤務を委嘱する場合がある」というような条項が就業規則に定めている場合,もっぱら雇い主の事情によって雇用を継続するかどうかを判断することが許される(東京地裁H28.11.30判時2328号129頁,但し,本件では採用時に継続雇用を期待させるやりとりが行われていたため,再雇用拒否を違法とした)。

再雇用拒否する上では就業規則が大切
 つまり,就業規則等に,原則として継続せず,例外的に採用するとの文言があれば許されることになる。このあたりの整備は社労士や弁護士とよく相談しておくべきだろう。

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