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№1873 配転命令に応じない

№1873 配転命令に応じない

 労働者は労働契約によって事業者の指揮命令下に入ることになる。「配転命令権」は使用者の指揮命令権の一つということになる。労働契約によって生まれる権限なので、どんな場合に配転命令を出すことができるかは労働契約の解釈によることになる。

 たとえば、雇用条件を示す場合に職場が限定されていたりすると当然配転命令はその範囲しかできないのが原則だ。しかし、一般的にはそれほど厳格に地域を限定した労働契約はないので、配転命令権にはかなり幅がある。

 特に全国展開していて、一定幹部になる過程で転勤が一般的にあるような会社は一般的には緩やかに解されることになるだろう。さらに就業規則などに配転について記載がある場合にはそれに従うのが原則だ。

 最高裁はこんな判断を出して、かなり緩やかに解している。遠くに転勤するにあたって家族が困るとかいうような事情は原則として我慢しろという考え方だ(最判61.7.14判時1198号149頁)。

「当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は業務上の必要性が存する場合であつても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的をもつてなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。」

 もちろん、事実上解雇に追い込むための人事ということになれば「権利濫用」として否定される。最近の事例でもノルマを達成しなければ転勤にするという業務上の命令を解雇権の濫用として否定した(福井地裁H28.1.15判時2306号127頁)。

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