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№2221 辞表と退職願とは違います

№2221  辞表と退職願とは違います

正社員の労働契約はいつでも解約できるのが原則です
 雇用は労働契約という契約なので,契約に拘束される。正社員の場合,一般的には期限の定めのない労働契約なので,使用者,労働者どちらの側からでも一方的に解約できるのが原則だ。

民法627条1項本文は次のように定めている。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。」

でも,使用者は不自由,労働者は自由です
 労働者はかなり自由に解約,つまり退職できる。しかし,労働契約は人の生活にかかわる重大事であるため,労働者保護の観点から行政的な規制が厳しい。使用者が解雇する場合には労働契約法の制約を受ける。社員を解雇する場合は十分弁護士と相談しておかないととんでもないことになる。

辞表にはどんな意味があるでしょうか
 民法は一方的に解約できるとしているので,労働者側から辞表を出し,使用者にそれが届けば労働契約は解消される。別に文書でなくとも,口頭で「辞めます」と言うだけでも効果がある。

 中小企業では社長と使用者とうまくいかないことがあって,社員が「やめさせてもらいます」とはっきり言い切る場合がある。これは,民法627条の解約の意思表示となるので,その時点で労働契約は終了する(但し,民法627条のちょっとした制約があります)。

上司が辞表をポケットに預かったら?
 辞表が上司に提出され,上司が預かりにする場合がある。これは辞表が届いたと言えるかどうかが微妙になる場合がある。社員が勢いで辞表を出して,上司といろいろ言っているうちに撤回するということも少なくない。辞めさせたいと思っているなら,いったん受理して,その後に再考の余地を残すというやり方もある。

退職願いと辞表とは違います
 辞表は退職の意思表示で,直ちに効力が生じる。一方,退職願いはまずはお願いなので会社の了解を前提としている。つまり,合意解約と言って,労使双方が合意して初めて労働契約が終了する。

 会社が了解するまで退職の効力が生じないため,了解するまでの間,労働者はいつでも撤回できる。

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