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№1813 減給するには・・

№1813 減給するには・・

 減給は不利益変更と言って労働者の同意無くして許されない(労働契約法8条)。しかし、やむえない場合は許されるとするのが判例だ(第四銀行事件最高裁判決(最高裁平成9年2月28日第二小法廷判決)。この判決を受けて労働契約法10条が定められ、一定の要件のもとに不利益変更が許されるとしている。

 労働契約法は次の事情を勘案するが必要だとしている。
 ① 変更後の就業規則を労働者に周知させること。
 ② 就業規則の変更がもたらす労働者の受ける不利益の程度。
 ③ 労働条件の変更の必要性
 ④ 変更後の就業規則の内容の相当性
 ⑤ 労働組合等との交渉の状況
 ⑥ その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであること。

 当然のことながら不利益変更するためには必要性を社員にきちんと説明する必要がある。社員の生活もあるので、大きな変更は許されない。あるいは何らかの代替措置も必要だろう。

 ともかく、それなりの納得の過程が必要なので、会社としてはかなり大変だ。さらに裁判の労力もばかにならない。そこで、企業ではこうした場合、原則として同意書を取り付けていく。

 この同意書については上司から無理矢理書かされたとして訴えた事例の判決が出ている。この事例は納得していないといいつつ同意書にサインした場合を無効として争ったが、それは結局単なる感情でしかなく、法的に特別な意味はないとした(さいたま地裁H27.11.27判時2291号)。

 ともかく、同意書を取り付けておくことはかなり重要な作業だ。 

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