名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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中小企業と労使関係

№1803 うつ病と企業の責任

№1803 うつ病と企業の責任 過重労働からうつ病になった場合、会社が労災として扱うばかりでなく、安全配慮義務違反を理由にした損害賠償請求義務も発生する場合がある。労災としてのうつ病から仕事ができない場合には解雇することは原則としてできない。 う…

№1772 私傷病、障害者に対する配慮

№1772 私傷病、障害者に対する配慮 業務とは関係ない病気、障害によって就労が困難になった労働者に対して雇用主としてはどのような対応をするべきだろうか。あるいは、障害者を雇用したものの就労がやはり困難という場合はどうだろうか。 私傷病による就労…

№1707 金額を決めないと権利はありません

№1707 金額を決めないと権利はありません 法律家の分野では初歩の初歩だが、一般の人には理解されていないことがある。その一つが、何事も確定していないと権利は発生しないということだ。 たとえば、「○○を売ってやる」と言っても契約は成立しない。「いつ…

№1646 マタニティハラスメント その2

№1646 マタニティハラスメント その2 最近マタハラに関する最高裁が出された非常に重要なので引き続き紹介したい(H26.10.23)。 妊娠した場合に,労働者が軽易な作業を求めた場合には応じなければならない(労基法65条3項)。 かと言って,妊娠や出産を理…

№1643 マタハラ(マタニティハラスメント)と企業防衛 その1

№1643 マタハラ(マタニティハラスメント)と企業防衛 その1 原告は理学療法士だったが妊娠を契機に軽作業に転換され,同時に副主任の地位を解かれた。産休,育休後職場復帰を果たしたが副主任に戻ることは無かった。最高裁はこの点妊娠出産による差別,い…

№1642 マタハラ(マタニティハラスメント)最高裁判決の評価

№1642 マタハラ(マタニティハラスメント)最高裁判決の評価 原告は理学療法士だったが妊娠を契機に軽作業に転換され,同時に副主任の地位を解かれた。産休,育休後職場復帰を果たしたが副主任に戻ることは無かった。最高裁はこの副主任の地位にもどれなかっ…

№1628 ブラック企業の代表取締役個人の監督責任

№1628 ブラック企業の代表取締役個人の監督責任 社内幹部のパワハラに対して,さらにその上司である社長個人が責任を負うことがある。東京地裁は,店員のパワハラ自殺について,パワハラした店長のみならず,そのまた上司の社長の個人責任を認めた(H26.11.4…

№1612 職員の多様性と,能力を引き出す力

№1612 職員の多様性と,能力を引き出す力 私の所属する中小企業家同友会では,現在「女性の力を引き出す職場」をテーマに勉強会を進めている。今回は職場の多様性がテーマだ。 愛知県同友会には男女共生委員会がというものがある。今回は委員長に来ていただ…

№1610 子どもが次から次への生まれてしまって大変。

№1610 子どもが次から次への生まれてしまって大変。 我が事務所は女性職員が多い。若い頃から働いていてもらい,やがて結婚,最近では子どもが次から次へと生まれている。当然,産休,育休はある。その間のやりくりは経営者としては本当に頭の痛い話だ。 し…

№1598 「試用期間」を入れる必要があります

№1598 「試用期間」を入れる必要があります 私が所属する中小企業家同友会には「労使見解」という文書がある。ずっと昔,労働組合運動が盛んだった頃,中小企業にも労働運動の荒波が押し寄せてきた。中小企業の親父達は困惑し,1つの見解をまとめた。 文書は…

№1594 パワハラ・モラハラ・セクハラ・マタハラ

№1594 パワハラ・モラハラ・セクハラ・マタハラ 今日は私が所属する愛知中小企業家同友会でパワハラ・モラハラ・セクハラ・マタハラの勉強会を行った。 セクシャルハラスメントという言葉が出て以来,パワハラ,モラハラと出て最近はマタニティ・ハラスメン…

№1591 有期労働契約の更新拒絶

№1591 有期労働契約の更新拒絶 期限を1年とするというような有期労働契約では期限が来れば当然契約は解消されます。しかし,1年を超えてまた更新するというようなことがあります。何回か更新されているような場合に更新拒絶が認められないことがあります。 …

№1552 パワハラ対策

№1552 パワハラ対策 パワハラという言葉は分かりにくい言葉だ。厚労省の「職場のパワーハラスメント対策の推進について」という通達(H26.4.3発0403第1号,基発0403第2号)では,「同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を…

№1549 パートさん雇用打ち切りが認められなかった事例

№1549 パートさん雇用打ち切りが認められなかった事例 パートさんだからと言ってむやみに解雇は許されません。雇用期間が1年と定めていても契約打ち切りが認められないことがあります。 パート労働者については有期雇用契約が多く見られます。労働契約も契約…

№1537 労働時間の考え方

№1537 労働時間の考え方 朝のラジオ体操は労働時間ではない?,出勤前の掃除の時間は労働時間ではない?,トラック内で配送準備のために待機しているときは労働時間ではない?,仕事の合間の仮眠時間は労働事件ではない? しかし,これらは労働時間に含まれ…

№1532 ごろつきのような労組もある

№1532 ごろつきのような労組もある 私は労働組合は必要なものだと思っている。憲法も労働者の団結権を保障している。しかし,正常な交渉を行わない労働組合に対しては徹底的に戦うべきだと思う。ごろつきと同じような組合であれば妥協するべきでは無い。労働…

№1523 セクハラってこんな具合

№1523 セクハラってこんな具合 最近セクハラに関する判決が出た。女性派遣社員に派遣先の正社員からセクシャルハラスメントを受けた。この場合,派遣元は派遣就業が適正に行われるよう配慮する義務があったとして50万円の賠償を命じられた(大阪高裁H25.12.2…

№1477 タイムカードをめぐる攻防

№1477 タイムカードをめぐる攻防 タイムカードは労働者の労働時間を機械的に記録するもので,労働時間,勤務態度を把握の重要資料になる。そのため,未払い賃金や労災など労働関係事件ではタイムカードをめるぐ攻防が少なくない。 労働基準法108条は賃金や労…

№1474 賃金体系の変更の手続き

№1474 賃金体系の変更の手続き 会社が徐々に大きくなると,それまでの賃金体系ではうまくいかなくなる場合がある。会社を部門ごとに分け,部門ごとに異なった賃金体系をとらざるえない場合もある。こうした場合,人によっては賃下げになるため,賃下げが労働…

№1456 社労士の役割

№1456 社労士の役割 中小企業では社労士を顧問にしている企業も多い。小さな企業の場合,社労士の役割は給料計算など雇用保険にかかわる業務やちょっとした補助金などが社労士の役割になるだろう。しかし,社労士にもいろいろあって,企業は積極的に活用する…

№1448 事業場外みなし労働時間の神話

№1448 事業場外みなし労働時間の神話 みなし労働時間って何だろう みなし労働時間というのは,実際の働いた時間にかかわらず,あらかじめ定めておいた労働時間とみなすという制度だ。時間管理が難しい職種について,適用される。 労働基準法において定められ…

№1446 外回り,外勤務の「みなし労働時間」

№1446 外回り,外勤務の「みなし労働時間」 みなし労働時間というのは,実際の働いた時間にかかわらず,あらかじめ定めておいた労働時間とみなすという制度だ。時間管理が難しい職種について,適用される。 使用者は本来働いた分だけ賃金を支払う義務がある…

№1431 私生活の犯罪行為と懲戒

№1431 私生活の犯罪行為と懲戒 労働契約上,社員は社内の秩序を維持する義務がある。私生活で痴漢,窃盗といった犯罪行為を行った場合に会社は処分できるだろうか。 まず,重要なことは懲戒権を行使する場合には「あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び…

№1423 パワハラから自殺した事例

№1423 パワハラから自殺した事例 被害者は金属琺瑯加工業を営む会社に勤務していたが,平成21年1月26日,愛知県瀬戸市内の公衆トイレに自殺した。遺族は自殺の原因が社長や幹部による日常的な暴言,退職強要があったためとして裁判し,勝訴している(名古屋…

№1402 結着をつけておきたい未払い残業問題

№1402 結着をつけておきたい未払い残業問題 中小企業の場合,従業員にサービス残業をさせている例がかなり多い。事業者の中には「サービス残業なしでは中小企業はやっていけない。」とかなり簡単にサービス残業を正当化する例がある。 さらに,新人の場合,…

№1401 ブラック企業って何?

№1401 ブラック企業って何? ネット上でブラック企業という言葉がはやっている。ブラック企業というのはよく分からないが,労働基準法に違反したり,非近代的な上下関係を作ってパワハラが横行したりするような企業のことを指している。 確かに最近はネット…

№1324 従業員の不始末と会社の倒産

№1324 従業員の不始末と会社の倒産 経営者としては社員を信頼して活動することは必要不可欠だが,これは社員を管理しないということを意味しない。特に営業担当者に集金も担当させている場合にはいくつか兆候が現れたときにチェックしておかないと大変なこと…

№1318 社員のフェイスブックに対する統制

№1318 社員のフェイスブックに対する統制 フェイスブックなどソーシャルメディアについては個人の氏名や勤務先などが記載されている。記載内容によっては会社の宣伝にもなる。しかし,会社の内幕暴露のようになってしまって会社の信用を害することもある。本…

№1299 偽装請負と言われないために

№1299 偽装請負と言われないために 最近、工場内の請負というのが増えている。私の依頼者の中にも大手企業の工場内で部品製造に携わっている会社がある。この場合、派遣労働との違いを明確にする必要がある。 派遣労働か請負かという点では契約の形式ではな…

№1243 不良従業員に対する求償

№1243 不良従業員に対する求償 どんなに良い経営をしていても、不良従業員というのが発生することがある。他の従業員とけんかし、殴り、怪我を負わせることもある。従業員の業務上の不始末で、他人に損害を与えた場合、使用者は賠償責任を負う(民法715条)…