№1881 懲戒解雇って何だろう?
組織秩序を維持する上で罰則は必要なもであるから、使用者には懲戒する権利があると言われたりしている。
雇用関係はそもそも雇用契約という契約によって拘束されるのであるから、契約上懲戒が示されていなば懲戒権は発生しないという考え方もある。
ただ、組織であるからには何らかの罰則は必要であるというのは一般的な考え方だ。就業規則を持っている企業は懲戒規定はあるだろう(労基法89条1項9号)。ただ、古い場合が多く、セクハラとか情報漏出、調査協力義務といった懲罰条項の例示で不備があるかもしれない。
実際の組織運営で懲戒処分をすることは少ない。
特に懲戒解雇となると深刻なので非常に難しい判断を迫られることになる。社員の方も必死なので弁護士と相談したりしていろいろ防衛してくるので判断ばかりで無く対応も難しい。
経営者としては次のことを留意すべきだ。
① 懲戒解雇は非常に重い処分であること。
解雇は生活者の利益を奪う。簡単なことではない。降格や他の処分との比較が重要だし、過去解雇が無効とされた場合(裁判例などが参考になる)とよく比較する必要がある。
② 懲戒解雇には理由が必要であること。
③ 弁明の機会を与えること
処分に際しては社員に弁明の機会を与えなければならない。おまえは即刻解雇だという古典的な社長は今でもいる。
ともかく、懲戒解雇は組織から除外するという点では「死刑」に等しい。刑事裁判のような厳格さが必要になってくると考えたら良い。労働者側が弁護士をつけて法的防衛を視野に入れているようであれば、使用者側は弁護士をつけて適切に対応しなければならない。
一つの手順の狂いがそのまま敗訴につながり、何年か分の給料を支払わされる上、慰謝料まで支払わなければならない場合が出てくる。会社全体の士気にもかかわる。会社にとって大きな打撃となるだろう。
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