名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№1913 アイドル恋愛禁止条項

№1913 アイドル恋愛禁止条項

 アイドルと芸能プロダクションとの関係は不透明なことが多い。契約関係は委任か、雇用かよくわらかないところもある。それはともかく、アイドルになったら恋愛は禁止、性的関係は御法度だ。

 東京地裁はこうした恋愛を禁止する条項は法的に一定許されるとした(H28.1.18.判時2316号63頁)。

 アイドルは言うまでも無く、女性にしろ男性にしろ、それにあこがれる万人のための存在だ。特定の異性との恋愛関係はアイドルの価値を下げてしまう。まして、性的関係などというスキャンダルがあったりすると、がた落ちだ。

「タレントと呼ばれる職業は同人に対するイメージがそのまま同人の(タレントとしての)価値に結びつく面があるといえる」「アイドルには異性と性的な関係を持ってほしくないと考えるファンが離れ得ることは、世上知られていることである。」

 と裁判所は言っている。しかし、ほんとかね。異性と関係を持ったら離れるファンなどいらないということになはならないかね。

 ともかく、アイドルとして売り出し、その価値を維持するためにはプロダクション側は相当のお金をかけてデビューさせる。この投資は法律的な保護に値すると考えられている。つまり、契約として合理性があり有効だとされている。恋愛や性的関係を持つことが、アイドル契約(委任又は雇用)違反となり、契約を解除していくことまでは許される。

 問題はされに進んで、恋愛、性的関係が発覚してアイドルくびにした場合、さらに進んで損害賠償請求ができるだろうか。

 東京地裁の事例は19才の女性アイドルが男性と恋愛し、性的関係を持った事例だ。アイドル側は辞職しているが、この事例ではプロダクションは許さず、なんと882万円の損害賠償請求をした。しかも、父母にまで請求している。これだけでもかなりたちが悪い。

 裁判所は芸能プロダクション側のブラックぶりを指摘し、損害賠償請求を許さなかった。恋愛禁止を理由に損害賠償請求できるのは「積極的に損害を生じさせようと意図を持って殊更に公にした」というような特別な事情が必要とした。

 これは未成年者の場合の判決で、これが成人となっていたりする場合には賠償問題も生じるかもしれない。

 私の考えは男女の恋愛は自由だし、性的関係ぐらいでぐらつくようなプロモーションなど怪しいので保護に値しないなどと思ってしまう。AKBのために要らないCDを何枚も買わせる商売の方がたちが悪いと思ってしまう。

名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら
                 → http://www.green-justice.com/business/index.html
イメージ 1