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№2172 副業すると残業可能時間が減ります

№2172 副業すると残業可能時間が減ります

 社員のオフタイムは自由に使えるので,副業・兼業も自由というのが法律上の原則だ。しかし,副業は職務に影響を与えることがあるので,就業規則上原則として禁止することができる。現在,政府は副業を促進する立場なので,禁止する方向で検討する場合は社労士や弁護士と相談した方がよい。

労働時間の管理に注意
 実務的には就業規則上許可制にする企業が増えているかもしれない。しかし,副業・兼業を認めた場合,「労働時間の管理」というやっかいな問題が出てくることに注意しなければならない。

副業時間は労働時間に通算されてしまいます
 労基法38条は1日の労働時間を8時間とするなど,いわゆる所定労働時間を定めている。時間外労働時間については労基法36条の協定,三六協定があればかなり増加できる。しかし,決められた範囲しか時間外労働させられないことには変わりない。

 時間外労働してもらう時間には限りがあるが,この時間には副業中の労働時間も含まれてしまう。たとえば,三六協定で月20時間と所定外労働時間と定めている場合,副業に5時間つかってしまうと,残り15時間が使用可能な時間外労働時間となる。

 当然,違反すれば罰則もある。

過労死,うつ病対策など安全配慮義務にも影響します
 働き過ぎがある場合,心臓病や脳卒中などの危険を伴う。うつ病も起こる。自殺も心配だ。使用者には安全配慮義務といって,「働き過ぎによる心身への疲労の蓄積」を防止する義務がある。

 働き過ぎに副業が原因しているとすれば,使用者としては自分の力の及ばぬところで問題が起きているのだから対応がしようが無いはずだ。しかし,時間管理の責任は依然あるので,場合によっては責任を負うことがあり得る。一般的には後の事業者が責任を負うなどと言われることもあるが,副業を許可制などにしていると責任を負うだろうし,知ってしまったのであれば免責されるとは限らない。 

副業・兼業を認めるのであればルールをしっかりしておく必要があります
 ともかく,副業禁止には限界があるため,企業としては就業規則を整備しておくことが望ましい。具体的には,副業を許可制にし,許可願いを出させ,就労先,就労時間などを記載させる必要がある。

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