№1216 労働組合への対処
労働組合が地域や全国単位で結成されている場合には、たとえ企業内に組合が無くとも、一人でもそうした組合に参加することはできる。団交でも組合の上部組織が参加してくることもある。
中小企業にしてみれば、企業の外の人たちが、従業員をあおって社内をめちゃくちゃにしてくるなどと思っているかもしれない。しかし、企業の垣根を越えて労働組合を作ることはできる。
最近の労働組合の傾向は最初に未払い残業代に目を付けてくる。これはシロウトでもわかりやすいし、計算も比較的簡単だ。手っ取り早くお金を取り戻せるので組合の成果としてもわかりやすい。
未払い残業代で成果が得られると、次には就業規則の改正を目標に組織活動を展開する。中小企業の場合、三六協定がない企業も普通に存在するので、組合側はこの点を指摘してくる。ちなみに三六協定というのは労働基準法36条のことで、法定労働時間を超えて残業などさせる場合には、労資の協定が必要であるとする条文だ。
法律が求めている以上、未払い残業代にしろ、三六協定にしろ、是非もない。
あっさりと諦めて、むしろ未払い残業代の請求を値切った方が得だ。
ともかく、組織結成、団交の嵐が一段落すると、企業の社長としては今後の組合対策をどうするか根本的なところから見直そうということになる。社労士を雇い、時には顧問弁護士も念頭に入れる。
こうした、企業で社長の対応がはっきり分かれるのは、組合に対して、長くつきあうしかないと悟るか、憎悪を残して徐々に反転攻勢に出ようかという具合に分かれる。どちらの場合にしろ、組合にはいじられてしまったので、組合に対してあんまりいい思いはない。
弁護士の立場からすれば、「私は法律は守る。君は契約通り十二分に働くべきだ。」、というところか。組合がある以上、無視することはできない。社長としては居心地が悪いだろうが、法律がある以上はしかたがない。
むしろ、組合とよい緊張関係を持って、常に契約通り働いてもらうという姿勢で職場の緊張感を作ったりことができる。また、組合ときちんとつきあうことで、労務管理をしやすくするという積極策もある。
組合とのつきあいもWIN-WINの関係を大事にすべきかも知れない。