№2173 悪風は感染する
企業が倫理的であるってどういうこと?
一つを許すと,だんだん悪くなる,悪風は感染します。
「割れ窓の理論」(Broken Windows Theory)というのがある。「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方だ(Wiki)。町中でも,落書きを一箇所許すと,増えていきいつのまにか落書きしていい場所として扱われてしまう。
同じように,会社のお金を少しぐらい目的外使用しても許されると考え行動する者がいると,自分もやってもいいんだと思うようになり,いつしか,この会社ではそれくらいいいんだという文化になってしまう。気がつけば,それが大事に発展する。
まずは本人の問題として意識させることが大切
企業の順法精神(コンプライアンス)にかかわる問題は不断の教育が必要となる。しかし,悪いことはやめましょうというだけではお題目に終わる。どうせきれい事だと放置されてしまう。一般社員には不正行為に対してはどれほど大きな災いが自分に降りかかってくるか知るところから始めるといいそうだ。
① 世間の評価基準が変化し,今まで行動を続けると,ある日突然,
悪者にされる。
② 不祥事を起こしたら組織内で信用を失う。
③ 働き続けることが難しくなり,自分から組織を去る結果になる。
④ そして,自分と家族の生活の歯車がくるって,離婚する,路頭に迷う,
転落人生となる。
⑤ だから自分と家族を守れるようコンプライアンスを励行してほしい。
(ビジネス法務,2018年5月号)
脅かしで組織の規律を求めてはいけません
しかし,罰則や脅かしでは長続きしない。大切なのは組織内でだめなことはだめだと言える雰囲気だ。相互にコミュニケーションを図ることができ,これって世間じゃ通用しないよねと言って実行できる雰囲気が必要だろう。そうすれば組織は前向きになるし,相互の信頼が高まる。グループ討議も有効らしい。
経営トップの高潔さに必要なのは言うまでもありません
もちろん,こういうことはトップの姿勢がそのまま反映することは言うまでも無い。トップの倫理の緩みはそのまま組織の倫理の緩みにつながる。経営トップは役得とか,オーナーだからと言う甘えは厳禁だ。組織が大きくなればなるほど,トップには人格的高みが求められる。
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