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№2169 日大炎上

№2169 日大炎上

日大が炎上してますね
 悪質タックルに日大が炎上している。企業法務からすれば,危機にあって負のスパイラル状態の典型例だ。多くの企業家は日大炎上に多くを学ぶ必要がある。

私たちの業界ではホワイトカラー犯罪という研究分野があります
 これは米国サザーランドさんの研究に始まる。1920年代恐慌時代にホワイトカラーと言われる社会的信望ある層でも犯罪に走るようになった。その心理的プロセスを分析したのだ。

 最近ではホワイトカラー犯罪は企業文化によって生じる犯罪として研究が続いている。組織に所属することで犯罪を犯してでも組織に貢献することが「善」だと考える文化ができることがある。ホワイトカラー犯罪はその結果生じる犯罪だという考え方だ。最近だと,赤福のあんの使い回し,東芝の粉飾,神戸製鋼のデータ改ざんなどは企業文化が犯罪を助長した事例だ。賄賂や談合,あげたらきりがない。

組織文化による犯罪のリスクは根が深いです
 ホワイトカラー犯罪の場合,企業や社会が失う損失は大きい。取引社会は相互の信頼で成り立っている。社会全体に企業倫理の喪失が蔓延すれば,自由な競争社会は失われ,経済停滞の原因ともなろう。ルールあってのスポーツと同じだ。コンプライアンスといった企業倫理の確立が長期的に見て企業の持続的発展に役立つという文化的確信が企業には求められる。

日大炎上という社会反応はある意味健全です
 炎上している日大だが,「うちは力がないから、厳しくプレッシャーをかけている。あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」などとうそぶく監督に象徴される。こういう文化に対する社会の反応は健全のように思う。悪質な文化を許容してはならないという社会の文化は必要のように思う。

炎上による負のスパイラルを回避するには
 ホワイトカラー犯罪は組織が犯罪者を英雄扱いするところに問題がある。組織が犯罪を隠蔽しつつ,つまり犯罪者を守りつつ犯罪を奨励している。日大にもこんな体質があるため,犯罪行為が露呈してもさらに隠蔽の行動が進むのではないだろうか。組織第一主義の監督,コーチ,それを支える日大の人たちに人々は怒っている。自分たちの希望する解決に落ち着くまで怒り続けることだろう。

 万一,不正が発覚した場合,この落ち着くべき解決に一直線に向かうことが必要だ。素直に事実を認め,真相を究明し,関係者を一新し,やり直す覚悟を示すというのが社会が求める解決だ。それから離れれば離れるほど,炎上レベルは加速し,負のスパイラル状態が生じる。このような負のスパイラルを産み出すような危機管理の甘さは,ホワイトカラー犯罪を生み出す企業文化の宿命かもしれない。

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