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№1846 企業の社会的「絆」と価値の創造

№1846 企業の社会的「絆」と価値の創造

 マイケル・ポーターは言う「社会的な絆がクラスターをまとめ、価値創造を助けるのである。」(競争戦略Ⅱ/ダイアモンド社 105頁)。クラスターというのは地域の競争力を生み出す諸関係、諸条件をまとめたものと言うことができる。

 愛知の場合、トヨタがあって関連する多くの企業群がある。個々の中小企業は高い技能を持っている。労働者も集まりやすい。いろいろな研究者、専門化もいる。道路、港、公的機関などいろいろある。中小企業は競争にさらされているが、それに勝ち抜き絶えず新しいものを生み出している。企業の立地はいろいろな関係を作り上げ、全体として競争力を作り上げている。シリコンバレークラスターでも有名だ。

 地域内の企業が相互に競争、協力することはこのように大いに意味のあることだ。
 私は中小企業家同友会に所属している。そして、この企業家集団が社会的にはどんな役割を果たしているのだろうかいつも考えている。中小零細企業が多いが、新しいことがたえず始められ、大きく成功する企業も少なくない。

 クラスター理論では「経済活動は、継続的な社会関係の中に埋め込まれている見られている。」(106頁)。「交流の繰り返しや地域・都市内の相互依存の感覚を通じて育まれた、信頼や組織相互の浸透によるメリットは、明らかにクラスター内部の交流の潤滑油となりそれが生産性を高め、イノベーションを加速し、新規事業の形成をもたらすのである」(106頁)。

 地域内、特に企業間の信頼という精神的つながりというのは地域の経済戦略、地域の経営戦略、個々の企業の経営戦略にとって有益となるつながりということになる。クラスターの発送は地域文化の形成とも深くつながるし、長期的な展望の中で徐々に積み上げられるものだ。だからこの場合の有益と言っても今すぐ役立つ利益ばかりではない。

 さて、同友会のことだが、こう考えている。
 クラスターが優れているかは、企業相互の関係が「競争」という視点からして戦略的な優位性を持っているかどうかが問われなければならない。この相互関係築き上げる、社会の「絆」を作り上げる上で同友会の持っている組織戦略は非常に優れていると思うのだ。

 同友会は3つの目標、「よい会社、よい経営者、よい経営環境」、企業家は自主独立で有り、自らの会社に責任を持ち、共によい経営環境を作り上げていく。また、人間性や科学性を重視し、誰もが幸福になる会社をめざしている。こうした理想が実践的であれと個々の企業はいろいろな努力を惜しまない。

 中小企業家同友会の役割をクラスターとう発想から見直すことは有益だ。それは単に社会にとって有益というばかりでなく、個々の企業発展にとっても有益だ。なぜなら、優れたクラスターは結局、それに所属する企業の発展をもたらすから優れていることだ。同友会を通じて形成される関係や文化は個々の企業の「競争上の優位」として個々の企業に反映されていくことだろう。

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