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№2317 CEO,リーダーの役割と倫理性

№2317 CEO,リーダーの役割と倫理性

 私はよく企業を訪問するが,会社のトップの考え方や会社の雰囲気を見るとなんとなく会社の善し悪しがわかってくる。企業におけるリーダーの役割は大きい。

1. 企業はリーダーの意識レベルを超えられない
  どんな組織であればトップマネジメントは存在する。組織はCEOの考えによって形成され,保持されている(「ティール組織」398頁)。

  盛和塾機関誌第127号では稲盛和夫塾長は「トップを見れば,その会社の状態がだいたいわかります」(3頁)「リーダーが持っている心の反映が会社ですから,リーダーの変化が会社の変化に反映されるのです」(5頁)。リーダーは「よほど自分というものを鍛えておく,つまり,京セラフィロソフィ覚え込ませていくことで,魂を鍛えていかなえればなりません。」と述べている。

2. 組織のトップのあり方
  組織については軍隊のような強力な統制を行う場合もあるいし,企業によっては職場単位の自主運営に委ねている場合もある。しかし,現実に活動している組織ならば,現場に一定の自主性なくして活動を維持することは困難である。そのため、組織末端に至るまでの人の倫理性が最後は組織の健全性を担保するということだと思う。

  こうした組織の現場に至るまでの倫理性は最終的には組織のトップによって確保されていく。これは単に「組織のトップは倫理的であるべきだ」という平凡な理屈で終わるべきものではない。重要なのは組織のトップがどのような人格であり続けなければならないのか,そのための努力とは何かという実践的な課題が提示されていなければならない。
  
3. 組織のトップと倫理
  経営者の倫理については欧米ではピューリタニズムやオーエン主義など様々語られている。日本においても儒教や仏教などを基礎に江戸時代中期頃より商人の倫理や組織の社会的役割が探究された。

  稲盛経営哲学の場合,経営を一種の「道」の探究と捉え,人生の目的ととらえている。天や宇宙の摂理を考え,人として与えられた使命を全うする,人間完成に向けてひたむきに努力するということが何度も語られている。「会社の利益とか自分の利益とかいうものは,私の人生の目的はないのです」(10頁)「人間というのは人のため,世のためにつくすために生きているのだと位置づけています」(12頁)

  ロバートオーエンも産業革命後に置かれたイギリスの労働者の境遇を改善するという大きな理想をいだき,ニュー・ラナーク工場を立ち上げ成功した。労働時間を制限し,敷地内に学校,教会やシアター,介護施設まで設けた。

4. 会社は誰のものか
  私の知っている限りでも,高い利益をあげ,発展を続けている会社ではCEOが高い倫理性を備えている例が多い。こうした会社では,組織はもはや個人のものではなく,組織は社会のために尽くす公器として捉えている例が多い。トップマネジメントは組織の声に耳を傾け,社会における存在意義を理解し,社員がその存在目的に向けて共通の意識を持てる文化的空間を作る。稲盛和夫氏はこれを「利他の心」と表現している。

 「本能心,つまり自己中心的な心で物事を判断している人と,そのような自己中心的な心から離れて仕事をしている人を比較すると,そこに大きな違いがあらわれてきます。」(27頁)
 「自己中心的な心から離れて,常に美しい心でありたいと思って自分の心を研ぎ澄ましていくと,おもしろいぐらいに,物事の真実が見えてくるのです」(20頁)

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