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№2129 商品事故と危機対応

№2129 商品事故と危機対応

 小売り系製造業にとって,商品事故からメディア炎上してしまうと大変なことになる。普段なんでも無いと思っていることが,表示上の偽装あるとか,あるいは死亡事故など重大事故に結びついたりするメディアの集中砲火を浴びたり,インターネット上の炎上を招いたりする。社会的注目を浴びれば,行政上の措置も厳しくなる。

商品事故の法律関係
 商品事故があった場合の法律関係はこんなところがある。
 ① 保証書に基づく対応(交換,修理,代金減額)
 ② 直接の売り主に対する債務不履行責任(主には損害賠償)

 これに加えて,消費者庁農水省公正取引委員会、保健所などの自治体などいろいろは役所が関与してくる。刑事罰に触れれば警察が動き出すし,脱税と結びつけば国税庁なども動き出す。

 このように企業にとって「事故」は深刻な問題を招く場合があるので危機意識をもって「事故対応」を検討することはきわめて重要だ。

兆候の察知
 一般的に流通している商品について兆候を察知する姿勢が必要だ。消費者からのクレームに対して「変な人」などと片づけずに「当社に問題があるかも知れない」と考えて,事実関係を確かめ,さらには社内で分析する制度を作っておく必要がある。

 営業担当者も販売ルートから情報を得られるので,何か顧客からのクレームがあった場合に素早く察知する必要がある。上司は部下の何気ない報告に敏感になるべきだ。SNS掲示板などの情報も何かあるかもしれない。

問題点の早期の把握
 クレームに対する事実関係が把握できた場合,「変な人」が架空の情報や,悪意ある情報を流している場合には早期の説明や警告が必要だ。この場合でも,挑発せず,事実関係を確かめる姿勢を示しつつ「変な人」と接することが必要だ。

 本当に事故である場合には,率直に認め,法律の範囲内で対応しつつ,相手と交渉を進める必要がある。もちろん,問題点は直ちに社内で修正する必要があるだろう。

インターネット上の炎上がある場合
 炎上になってしまうと、プロバイダーなどへの対応も必要になるが、なかなか打つ手がない。会社に余裕があれば、高額な費用を支払ってでも専門業者に対応を依頼する必要があるかも知れない。

問題が明るみに出た場合
 これは見極めが非常に難しいが,率直に認めて「わびる」必要がある。意味無く抵抗するとさらに問題を悪化させ,負のスパイラルが起こる。

 規制業種であれば行政との対応も不可避だ。行政との関係は一定の信頼関係を維持しつつ、どのように考えているか絶えず情報を集める。情勢分析と行政対応は不可欠となるなる。

警察・税務関係
 警察など強力な権力機構が対応するレベルだとかなり深刻なレベルとなる。行政対応と基本的に同じなのだが、証拠隠滅や犯人蔵匿にならないよう十分注意が必要だし、逮捕者が出る可能性があれば、正直に対応する必要が出てくる場合もある。 

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