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№2130 人心の心をつかむには

№2130 人心の心をつかむには

 人の心をつかむのは難しい。

田横とその部下のきづな
 漢が国家を統一したとき,斉の覇者であった田兄弟を討伐した。田兄弟の一人田横は漢王の追跡を免れるために食客500名とある島に逃げた。漢王は田横の才を認め,召し抱えるべく呼び出したが、仕えることを潔しとせず,自らの首をはねて,首を漢王に持参するよう食客2名に命じた。

 漢王は田横の高潔さを認め,王の儀式をもって弔った。食客ら2名は田横が葬られるのを確認すると,その墳墓近くで自らの命をたった。共に島に渡った500名の食客らも田横の死を知るや,みな殉死した。

 史記列伝には人心を掌握した英雄たちの逸話が多く載せられている。戦争と共に時代が動いていった時代なので,単純には言えないが,リーダーたちの高潔さと,統率力には驚くべきものがある。今の経営者は彼らに何を学ぶべきだろうか。

「徳」という理念
 中国には古来「徳」の理念がある。理想の徳治は何もせず,リーダーの存在すら気づかない状態だということらしい。人の成長を願い,我が子の無事や成長,繁栄を喜ぶように部下の無事や成長,繁栄を喜び,我が子の独立を喜ぶように,部下の独立を認め,喜ぶ,そんな人間の大きさが求められるのかも知れない。

 経営者が部下に厳しいものを求める時,その厳しさにある種のやましさがあると,部下は利用するために強制されていると感じる。働きに応じた評価がされていないと,部下は不当に搾取されていると感じる。それが,弁護士である場合,いつか独立してやると感じることだろう。会社員であれば,サボタージュとなってあらわれるのかも知れない。

経営者だから「徳ある人」というわけではない
 経営者は強い意識を持つことが必要だ。揺るがない信念が市場という荒波を乗り切る羅針盤となる。しかし,経営者だからすぐに「徳ある人」という訳ではないところがつらいところだ。このあたりの強い悩みの積み重ねが結果として「徳ある人」と評価されるのだろう。

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