ずっと昔、私が弁護士になりたてのころに、企業に倫理はあるかをアメリカ人たちと議論したことがある。ある人は企業には倫理はない、企業にあるのは利潤だけだと言った。ある人は、企業も人が動かしている以上、企業にも倫理はあると言った。それに対して、ではGEの宗派何か、カソリックか、プロテスタントなのかなどと攻撃されていた。
ドラッカーの考えはどちらかと言うと倫理があるという考えだろう。彼によるとマネジメント自体は価値中立的で普遍的なテーマだ。しかし、マネジメントの源泉は企業目的に向けた強い動機、意欲だ。ドラッカーの指摘するように「組織は戦略に従う。」
企業が特定の目的のために活動するとしたら、利益はどのように位置づけられるのだろうか。ドラッカーの言葉を並べてみる。原文に当たっていないので、何とも言えないが、利益を「制約要因」としているのは興味深い。
■ 企業が「『利益をあげるために存在する組織』という答え」は「誤っているばかり
か、不適切である」
■ 利益は重要だが「それ自体が目的なのではなく、むしろ企業とその制約要因だ
■ 利益は重要だが「それ自体が目的なのではなく、むしろ企業とその制約要因だ
と言える」
■「利潤の最大化は、企業の役割や目的、企業経営の仕事を論じるうえで、ふさわ
■「利潤の最大化は、企業の役割や目的、企業経営の仕事を論じるうえで、ふさわ
しい概念だとは言えない」
■「利益は原因ではなく結果である」
■「利益は成果を確かめるのに役立つ」
■「利益は原因ではなく結果である」
■「利益は成果を確かめるのに役立つ」
ドラッカーによると、企業は顧客の満足、組織構成員の達成感を目的に活動する。企業の社会的任務も企業の目的の一つだ。彼は利益がなければこれらの活動はできないとするが,利益は目的ではないというのである。
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