№2226 うつ病対応
うつ病はあいまいな病気だ
あいまいさの利用が会社への賠償請求の裏技のように心得る連中が増えているように思う。気分が落ち込む,眠れない,泣きたくなるなど診察時に一定の症状を言うように指導しているように思えてくる例がある。
仮病と疑われる場合の対応法
この真正な病気と詐病との判断は非常に難しく,私たちが相談を受けたときはかなり詳しい聞き取りを行わなければならないことがある。
最近も数百万の請求してきた例があるが,聞き取りをするとなんのことはない,わずか1ヶ月のできごとを問題にし,しかもたいした問題とは思われない事例だった。退職後になって初めて診察を受けており,法律事務所に相談後,診察を受けていると思われた。
労災申請では事業主証明が求められる。上記の場合には経過を整理して,そもそもうつ病が発症しているとは思われないと記載する外はない。
簡単にうつ病対応を整理してると次のようになる
1. 就労規則の整備
① 本人の調査受諾義務
② 本人の主治医への調査の受諾義務
③ 事業主が指示する医師への診察義務
④ 休業規定
2. 真正なうつ病の場合
① 本人に経過を尋ねる。
② 就労能力について整理する。
③ 本人の負担軽減のための措置が可能か検討する。
④ 就労不能であれば,休業規定の活用を検討する。
⑤ 休業確認書についての署名
⑥ 休業後復職可能性ついて判断する。この場合,単なる治癒ではだめで,復職できるだけの水準に達しているかどうかが重要。
事業者は従業員に対して雇用の責任がある。また,キャリアをつんできた労働者を失うことは企業にとって失う価値が小さくない。一人一人を大切にすることによって,従業員全体の信頼も得ることができる。経営者としてはこの点を十分念頭に置かなければならない。
名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら